ダブルノット/DX学校豊岡校の高林です。

先日、ある介護事業者さんで生成AIの研修を行いました。
受講してくれたのは、現場を支える若手の管理職3名。

研修が終わって彼らがふと漏らした言葉が、今もずっと頭に残っています。

「AIに伝わらない指示は、人にも伝わらないんですね」

まさに、ここなんです。
生成AIの研修だと思っていたら、いつのまにか「部下への指示の出し方」の研修になっていた。
本人たちもそれに気づいてくれた。

実は、私が日々お客様にお伝えしているのは、まさにこの感覚なんです。

生成AIは、便利な”道具”ではなく、組織に新しく入ってきた”中途社員”。
ものすごく優秀だけど、自社のことは何も知らない。

つまり、AIを活用する人には「教育係」としての役割が求められます。

生成AI研修のはずが、いつのまにか「部下への指示の出し方」や「組織内の仕事の伝え方」を見直す時間になっていく。
私たちが行っている研修では、こうしたことがよく起こります。

鳥取・豊岡を中心に全国で年間50社超の中小企業を支援するなかで、私はこの考え方をずっとお客様にお伝えしてきました。

今日は、ダブルノットがなぜ生成AIを「個人が使う便利な道具」ではなく、「組織に迎え入れる中途社員」として捉えているのか。
そして、なぜ私たちが「個人活用型」ではなく「組織採用型」のAI研修にこだわっているのかをお話しします。

■ 世の中の生成AI研修は、大きく2つに分かれます

最近、生成AIに関する研修や講座が本当に増えました。
YouTubeでも書籍でも、検索すれば山のように出てきます。

ただ、私の見立てでは、世の中の生成AI研修は大きく2つに分かれているのだと思います。

ひとつは、「個人活用型」。
AIをどう使うか、どんなプロンプトを書けばよいか、便利な機能はどれか、というところを教える研修です。
これは、AIを「個人の道具」として捉えている研修です。

もうひとつは、「組織採用型」。
AIを「組織に新しく入ってきた中途社員」として捉え、その中途社員にどう仕事を教え、どう役割を与え、どこまで任せるかを学ぶ研修です。
これは、AIを「組織の一員」として捉えている研修です。

どちらが良い悪いという話ではありません。
ただ、世の中にあふれている研修のほとんどは「個人活用型」です。
プロンプト集や便利機能の紹介は、もうYouTubeでも書籍でもたくさん見つかります。

私たちダブルノットがやっているのは、後者の「組織採用型」のほうです。

理由はシンプルで、お客様の本当の悩みが、そこにあるからです。

「研修を受けたけれど、社内に広がらない」
「受講した人だけが便利に使っている」
「結局、組織としては何も変わらなかった」

中小企業の経営者から、こういう声を本当によく聞きます。
それは、研修が悪いというよりも、「個人活用型」だけでは届かない領域があるからなんですよね。

私が「AI中途社員」という言葉を使う理由

「AI中途社員」。

私はお客様に話をするとき、生成AIをこう呼んでいます。

なぜなら、生成AIの特徴を一番うまく言い表せるのが、この言葉だからです。

生成AIは、

  • ものすごく優秀です。文章を書くのも、整理するのも、アイデアを出すのも得意。
  • 24時間365日働けます。何度でも壁打ちできます。
  • 月3,000円ほどで雇えます。これは、新しい社員を1人雇うことを考えれば、破格の安さです。

ただ、ひとつ大きな弱点があります。
それは、自社のことを何も知らないということです。

  • うちの商品のこと
  • うちのお客様のこと
  • 社長の判断基準
  • 社内の共通用語
  • これまでの経緯

これらは、誰かが教えてあげないとわかりません。
入社初日の中途社員と、まったく同じです。

中途社員が来たら、私たちは何をするでしょうか。
「うちの会社はこういう会社で」「あなたの役割はこうで」「この資料を読んでおいて」「まずはこの仕事をお願いします」と、いろいろ教えますよね。

生成AIに対しても、まったく同じことが必要なんです。

そして、ここで大事になってくるのが、受講者は「教育係(マネージャー)」になるということです。

今まで自分でやっていた仕事を、AIという部下に頼む立場に変わる。
新卒社員でも、若手社員でも、いきなり「指示を出す側」に立つことになる。

つまり、生成AI研修というのは、実質的には管理職研修でもあるんです。

これは、最初は私自身もうまく言葉にできなかった感覚でした。
でも、いろんなお客様を見ていくなかで、はっきりと見えてきました。

部下を持ったことがない人や、指示を出すのが苦手な人は、AIもうまく使えません。
逆に、人をマネジメントしてきた人は、AIにもうまく仕事を頼めます。

「AIの使い方」ではなく、「AIの育て方」「AIの雇い方」。
これが、組織採用型の研修で扱っている中身です。

「AIに伝わらない指示は、人にも伝わらない」

冒頭で紹介した、介護事業者さんの管理職の言葉。

これは、兵庫県豊岡市にある株式会社アンズケアさんでの研修の話です。
通所介護、訪問介護、介護タクシーを運営されている事業者さんで、若手の管理職3名に受講していただきました。

研修が終わったあと、皆さんがおっしゃったのが、あの言葉でした。

「AIに伝わらない指示は、人にも伝わらないんですね」
「自分が部下にちゃんと説明できていなかったのが、よくわかりました」

私がお伝えしたのは、AIの操作方法だけではありません。
むしろ、「前提を伝える」「役割を与える」「仕事を分解する」「出力を確認する」「修正を依頼する」「任せる範囲を決める」という、部下マネジメントの基本でした。

それが、AIに対してそのまま当てはまる。
そして、人間の部下に対しても、同じことを丁寧にやれていなかった自分に気づく。

研修後、この会社ではいろいろな動きが起きました。

  • 業務マニュアルや手順書を、改めて見直した
  • 訪問介護のマニュアルもAIと一緒に整理し直した
  • 議事録や日報の作成を、ほぼ自動化した
  • 行政や医療機関に提出する書類のドラフトも、AIに任せられるようになった

結果として、間接業務にかかっていた時間が大幅に減りました。
そして、空いた時間を、利用者さんへのケアに振り向けられるようになった。

これは「AIを使えるようになりました」というレベルの話ではないと思っています。
組織内のコミュニケーションそのものが、少し変わった話なんですよね。

■ AI中途社員にも「職場環境」が必要なんですよね

組織採用型の研修を受けたあとに、必ず出てくる次のテーマがあります。

それは、「AI中途社員にも、職場環境が必要だ」ということです。

人間の社員には、机があり、書類棚があり、会議室があり、社内のフォルダがあります。
だから仕事ができるわけです。

AIにも同じことが当てはまります。
AIが参照できる資料、AIが書き込める場所、AIが整理してくれる仕組み。
これがないと、いくらAIに指示を出しても、毎回ゼロから始めることになってしまう。

私たちの場合、ここで多くのお客様にご紹介しているのがGoogle Workspaceです。
Gmail、Drive、Docs、Sheets、Meet、NotebookLM。
こういったツールが、AI中途社員の「職場」になります。

もちろん、Microsoft 365でも同じことはできます。
大事なのは、特定のツールを使うことではなく、人間の社員とAIの社員が、同じ情報を見ながら仕事できる環境を整えることです。

兵庫県のパソコン教室、株式会社アルファスタジオさんの例があります。

ここはフランチャイズ展開されていて、複数の拠点で運営されている会社さんです。
研修を受けていただく前は、日々の売上データの集計や日報の作成に、1拠点あたり1時間以上かかっていました。
複数拠点のデータをエクセルに貼り付けて、メールに添付して、最終的に社長に届ける、という流れでした。

研修を受けていただいたあと、まず日報作成が1時間から数分になりました。
スタッフが音声で話した内容を、AIが日報の形に整えてくれる。
浮いた時間を、生徒さんへのカウンセリング業務に回せるようになりました。

その次に出てきたのが、「複数拠点の情報共有を、Googleドライブで一元化しよう」という話でした。
メール添付の数珠つなぎから、ドライブで全員が同じファイルを見る形へ。
これも、AIを「組織として使う」ための職場環境づくりのひとつだったわけです。

ここまで来ると、もうAIの話というより、業務改善の話そのものなんですよね。

■ 経営者にとってのAIは「いつでも戻れる相談相手」

ここまでは社員向け・組織向けの話でしたが、もうひとつ大事な視点があります。

それは、経営者にとってのAIは、相談相手になるという話です。

経営者って、悩みややりたいことを、最初から綺麗に言葉にできないんですよね。
何となく売上が伸びない。何となく社員が元気がない。新しいことをやりたいけれど、社員になかなか伝わらない。

そういうとき、本来であれば、税理士さんや社労士さん、私のような経営コンサルに相談する場面です。
ただ、専門家に相談するのって、意外とハードルが高いんです。

  • 費用がかかる
  • 何を相談すればいいかわからない
  • 考えがまとまっておらず恥ずかしい
  • こんな段階で相談していいか迷う
  • 相談したら決めなきゃと感じる
  • 後戻りしにくい

特に2代目、3代目の経営者の方は、プライドもあります。
「わからない」と素直に言えるようになるまでに、時間がかかる。

でも、AIなら違います。

  • 何度でも言い直せる
  • 追加費用ゼロ
  • 恥ずかしさゼロ
  • 「やっぱり最初から」が言える
  • 前提もターゲットも変えられる

事業計画というのは、自分の想いを何度も言葉にしていく作業です。
「やっぱり違うかも」と戻れること。
これがすごく大事なんです。

具体例をひとつご紹介します。

北海道釧路市のYour Fun合同会社、増田綾香さんという代表の方です。
酪農家の家で育ち、今は広告・ブランディングのお仕事をされています。

新しく合同会社を立ち上げるタイミングで、私たちの経営者向け講座を受けていただきました。
6週間、AIと壁打ちしながら、自分の原体験を言葉にしていく。
そしてSWOT分析、収支計画、最終的な事業計画書まで作っていく。

最初は「酪農×事業承継×ブランディング」というぼんやりした方向性でした。
それが講座を進めるなかで、「酪農×事業承継×リブランディング」という、ものすごくニッチで、ものすごく明確なターゲット設定にたどり着きました。

そして3年目に黒字化する収支計画も、AIと一緒に作り上げた。

特別なAIスキルがあったわけではありません。
ただ、自分の想いをAIに何度もぶつけて、何度も戻って、また進めた。
その繰り返しが、事業計画になっていった、ということです。

■ なぜ鳥取の小さな会社から、こういう話をしているのか

私は鳥取県湯梨浜町の生まれです。
20代から30代は、東京で大企業向けの事業支援をやっていました。
約10年前、40歳のときに鳥取に戻ってきて、今は中小企業の支援を中心にやっています。
東京から鹿児島まで、年間50社くらいのIT活用支援をしています。

正直に書きますが、地方の中小企業の現場では、「DX」という言葉はあまり響きません。
遠い世界の話のように聞こえてしまうんです。

でも、「生成AI」という言葉は、不思議と話を聞いてもらえます。

  • メールや議事録、提案書など、すぐ業務につながる話だから
  • テレビや新聞、YouTubeでもよく出てくるから
  • 経営者の口から「ChatGPT」が自然に出る時代になったから

特に私が日々お話ししているのは、従業員10名以下、年商5億円以下の小規模事業者さんです。
専門人材を採用するのは難しい。
大手コンサルを入れるほどの体力はない。
でも、月10万円くらいの伴走支援なら、検討できる。
身近に、ITも含めた新しいことの相談ができる人がほしい。

そういう方々と一緒に、一歩ずつ進めています。

ただ、生成AIを「個人の便利な道具」として教えるだけだと、こうした会社の経営課題は解けません。
だから、「組織採用型」という形にこだわっています。

これからの時代、新しい事業を始めるときに、生成AIを組織に組み込むのは、たぶん当たり前になります。
私自身、新規事業の立ち上げで組織をつくる支援をずっとやってきました。
その経験から見ても、「組織にAIを迎え入れる」という考え方は、ますます大事になっていくと思っています。


■ ダブルノットの「組織採用型」AI研修について

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
最後に、私たちが提供している研修について、簡単にご紹介させてください。

ダブルノットの生成AI初級編講座は、まさに「組織採用型」のAI研修です。

  • 対象:生成AI未経験者、DX推進担当者候補、管理職、経営者
  • 期間・形式:全10時間(オンライン4回×1.5時間 → 集合研修4時間のハイブリッド型)
  • 価格:30万円/人(税別)、1社3名以上から
  • 特徴:20社以上の支援実績/助成金最大75%対応/専門用語を使わない

カリキュラムは5ステップです。

  1. 生成AIの基本と活用シーン
  2. 生成AIの操作と実用例
  3. よくある職種別の活用法と、AIと共に考えるワーク
  4. リスク・安全運用・未来展望と、職場で使えるプロンプト集
  5. 実践演習(業務フローづくり、AI活用フローへの変革、プロンプトづくり)

特定のAIツールに依存しないカリキュラムなので、ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotなど、お使いの環境に合わせて学べます。

詳しいご案内は、下記の商品ページをご覧ください。

経営者向けの「新規事業の立上げ方講座」(AIを相談役にする講座)もご用意しています。
こちらは6週間の通信制で、私が1対1で個別に伴走するプログラムです。

■ よくいただくご質問

Q. ChatGPTとGeminiのどちらを使えばよいですか?
A. 講座では特定のツールに依存しません。私はよく「車の運転と同じです」とお伝えしています。車種が違っても、運転の仕方はほぼ同じ。チャットAIも同じで、基本的な使い方はどのサービスでもほぼ共通です。まずは1つに慣れてから、用途に応じて使い分けてみてください。

Q. 鳥取や兵庫以外でも受講できますか?
A. 大丈夫です。オンライン4回+集合研修4時間のハイブリッド型なので、集合研修部分は私が御社にお伺いします。全国どこでも対応しています。

Q. 1名でも受講できますか?
A. 申し訳ありません。本講座は1社3名以上からの実施とさせていただいています。組織として共通言語を持っていただきたいので、複数名での受講を前提にしています。1名で学びたい場合は、経営者向けの「新規事業の立上げ方講座」をご検討ください。

Q. 助成金を使うと、どれくらいの自己負担になりますか?
A. 条件に該当する場合、人材開発支援助成金の活用により、最大75%の助成を受けられる可能性があります。詳しい申請方法はご相談時にご案内します。

Q. 受講後のフォローはありますか?
A. ワークショップ後の実践フォローアップ(別途申込制)をご用意しています。研修で終わらせず、業務に定着させていくところまで伴走できる体制にしています。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

生成AIは、便利な”道具”ではなく、組織に迎え入れる”中途社員”。
私はこの考え方を、これからも地域企業の皆さんと一緒に育てていきたいと思っています。

研修のご相談、ちょっとした疑問、なんでも結構です。
お気軽にお問い合わせください。

📞 050-3205-0801
📩 program@doubleknot.co.jp

ダブルノット/DX学校豊岡校
高林 努