2026年2月に「生成AI初級編講座」を受講いただいた、NPO法人就労支援センター和貴の郷 理事長の河村雄太さんにインタビューさせていただきました!

鳥取県鳥取市を拠点に、企業や公共団体、個人事業者の方から仕事を受注し、障がい者が主体となって仕事を行う雇用型施設「和貴の郷」。今回は、施設でサービスの管理やバックオフィスの要を担うメンバーを対象に、複数回にわたる「生成AI活用講座」を受講していただきました。

受講メンバーである朝野さんと浅田さんは、日々発生する細かな記録業務や経理実務の負担を、生成AIを使ってどのように解消したのか。実際に生まれた実務成果と、これからの展望についてお話を伺いました。

受講されたコース:生成AI初級編講座

生成AIの業務利用は未経験。半信半疑ながら受講した活用講座

浅田さん:私はサービス管理責任者として、施設利用者に関するデータ入力、モニタリング、個別支援計画の策定、相談員との支援会議などを担当しています。

朝野さん:私は主に経理全般(請求書作成・支払い・給料計算・国への給付費請求など)を統括しつつ、業務の約2割でグループホームの個別支援計画作成に携わっています。

朝野さん:生成AIという言葉は知っていましたが、あまり興味がなくほとんど使ったことがありませんでした。

浅田さん:業務では使ってませんでした。プライベートでは、旅行のスケジュールを組んでもらうために少し触ったことがある程度です。

朝野さん:前提として、理事長の河村から「生成AIを活用しやすそうな業務を担当しているメンバーが受講しよう」というお話がありました。

個人の業務で言えば、施設の利用者さんからヒアリング内容を就労支援計画に落とし込む業務がとにかく大変だと感じていました。利用者さんごとに1年間の長期目標や6ヶ月の短期目標が異なるため、聞き取った中から課題や特性を見出して具体的な支援を考えていくのですが、考えることが多く想像以上に時間がかかっていました。

ただ、私たちの仕事は人と対面する「感情労働」でもあるため、当初は「AIに何が分かるんだろう、任せられるものなのかな」という半信半疑な気持ちもありました。

また、私は経理業務の中で、例えば遅刻や早退、中抜けや休暇などが発生した場合に、1日ずつの勤務時間を手作業で計算して引いていく作業があり、とても時間を要していました。他にも地道な作業が多く、時間がかかっている業務の中でAIを通じて何とか改善できるものはないかと漠然と思っていました。

プロンプトは人への指示と同じ。前提条件や役割の言語化で見えてきた仕事とコミュニケーションの解像度

浅田さん: 生成AIを自分の部下や相棒として位置づけて、具体的な前提条件、役割、指示を分けて書く方法を学びました。これまでプライベートでは日常会話の延長のような感じで指示を出していたので、いざ仕事で使うとなると、どのようにそれらを分類したら良いのか最初は難しく感じました。指示の出し方ひとつで答えが変わってくる点に、ビジネスツールとしての難しさを感じたのを覚えています。

ですが、やみくもに入力するのではなく、事前にWordやメモ帳を使って指示書の下書きを作る習慣(プロンプトのテンプレート化)を重ねることで、AIからの回答のブレが少なくなることを実際の演習を通じて体得していきました。

朝野さん: 私自身、最初は「感情労働である就労支援の仕事を、本当に機械に任せられるのだろうか」という戸惑いが少なからずありました。ですが、浅田と一緒にプロンプトを作る練習を繰り返したことで、自分たちの仕事内容や背景(前提条件)を細かく書き込めば書き込むほど、意図した通りの的確なアウトプットが返ってくることが分かり、非常に印象的でした。

浅田さん: このプロンプトを作る習慣は、生成AIの利用回数制限を抑えて効率的に使うためだけでなく、自分自身の頭の中を整理する上でも本当に役立ちました。

朝野さん: そうですね。頭の中でなんとなく考えていた仕事の依頼内容をしっかりと文字にして整理する癖がついたことで、AIに対してだけでなく、実際の人に対する仕事の頼み方や日常のコミュニケーションの解像度まで高まっていくという、大きな気づきが得られた時間となりました。

様々な業務で時間短縮を実現。個人の成果から、事業所全体の成果を目指して

浅田さん:利用者さんに対するヒアリングの場面で、体調面、作業面、生活面、対人面など項目を細かく区切った、独自のヒアリングシートを標準化できました。今は面談のときにそのシートに沿って聞き取りをして、対話の内容をボイスメモなどで録音するようにしています。そしてその音声データをAIで文字起こしし、「このシートに沿って記録を要約して」と頼むフローに変えました。これにより今まで半日〜1日くらいかかっていた作業が、1時間くらいで終えられるようになりました。

AIが出してくれた文章の書き間違いや、言葉のニュアンスを少し手直しするだけで書類が完成するため、本当に楽になりました。詳細なヒアリングシートがあることで聞くことが整理されて話しやすくなりましたし、利用者さんも話しやすくなったみたいで、よりスムーズに会話が進むようになりました。

朝野さん:私が担当しているグループホームのモニタリング作業でもこれを使っているのですが、以前は1時間ほどかかっていた作業が、今では約10分へと短縮されました。

また、施設の運営や事業展開に不可欠な補助金・助成金の情報収集にも生成AIを活用しています。今まではネットで検索してもなかなか必要な情報が入ってこなくて、苦戦する場面が多々ありました。しかし、生成AIに具体的な条件を提示してリサーチを行うことで、「鳥取市ではもう少ししたらこういう補助金が使える」「昨年はこうだから、今年も同様の制度があるはず」「ここ(具体的な窓口の電話番号)に連絡すればいい」といった、高解像度な情報を得られるようになりました。

AIによるリサーチに基づいて、今年度は実際に2件、補助金を使わせていただくことができました。経営観点でもとても良い成果だと思います。

浅田さん:直近、職員の急な退職が発生し、本来であれば2人体制で執行していたバックオフィス業務を、1人で担当しなければならなくなりました。本来なら絶対に業務が回らない状況なのですが、生成AIを活用しているおかげでなんとか1人で回しきることができています。

今現在、私たちの職場で生成AIを業務に取り入れているのは受講した私たち2人が中心であり、他のデスクワーク職員への展開はこれからのフェーズです。今後は、AI活用のノウハウを組織全体へと共有し、事業所全体の生産性を底上げしていきたいと考えています。

ダブルノットの“生成AI初級編講座”について

伴走支援の目的は、仕組みを整えることではなく、その仕組みが“自走する状態”をつくることです。

課題を整理し、方向性を示すところから支援は始まります。
最も大切なのは、現場が自ら動き出すこと。私たちは「答え」を与えるのではなく、動くためのきっかけをつくります。
ときには立ち止まりそうなチームの背中を押し、「やるぞ」と一歩を踏み出す瞬間を生み出します。
答えは会議室ではなく、顧客の中にあります。動くことでしか結果は変わらない。
だからこそ、挑戦した人を称え、失敗を恐れず試し続ける文化を育てることを大切にしています。

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