2026年3月19日、一般社団法人ほの国東三河観光ビューロー様主催の「第6回DMOセミナー」に、弊社代表の高林が登壇しました。
テーマは、「AIを使いこなし、AIにも推されるために 〜小さな会社・組織でも今すぐできる最初の一歩とは?〜」。
生成AIは、文章作成やアイデア出し、情報整理など、日々の業務を支える「相棒」として広がりつつあります。一方で、AI検索やAIによる概要表示が広がる今、観光事業者や地域団体は、AIを使うだけでなく、AIに自社や地域の情報を見つけてもらい、選ばれるための情報発信にも向き合う必要があります。
本セミナーでは、大きく2つのテーマを扱いました。
1つ目は、生成AIを日々の業務にどう活用するか。
2つ目は、AI時代の検索において、自社や地域の情報をどのように整えるかです。
前半では、生成AIとの向き合い方や具体的な仕事の進め方、生成AIを組織の中で活用する考え方について解説。後半では、AI時代の検索の変化や、AIに推されるために事業者が整えておきたい情報発信のポイントをお伝えしました。
本セミナーはオンライン形式で開催され、約1時間半にわたり、生成AIを「使う側」としての第一歩と、AIに「選ばれる側」としての備えを、観光業界の実務に引き寄せながら整理する機会となりました。
生成AIは、操作する道具ではなく“対話する相棒”
セミナー前半で高林が強調したのは、生成AIを単なる「操作する道具」として扱うのではなく、対話しながら一緒に仕事を進める“相棒”として捉えることです。

従来のパソコンやスマートフォン、Excelなどのツールは、人が操作して使うものでした。一方で生成AIは、こちらが役割を与え、前提条件を伝え、会話を重ねながら成果物を作っていく存在です。
たとえば、文章作成を依頼する場合でも、ただ「文章を書いて」と伝えるだけでは、期待する答えは得られにくくなります。
誰に向けた文章なのか。
- どのような目的で使うのか。
- どの立場で考えてほしいのか。
- どの情報を前提にするのか。
こうした条件を伝えることで、AIから得られる回答の精度は大きく変わります。
大切なのは、AIに丸投げすることではありません。
AIを使ってたたき台を作り、人が現場感や地域らしさを加えて磨き込むこと。
生成AIを部下や同僚のように活用しながら、最後は人が確認し、判断し、修正する。この関係性をつくることが、業務でAIを活かす第一歩になります。
業務で使うには「役割」と「前提条件」を伝えることが大切

当日は、生成AIへの具体的な依頼方法についても紹介しました。
ポイントは、AIに対して役割・指示・前提条件を分けて伝えること。
たとえば、観光企画のアイデアを出してもらう場合、単に「観光企画を考えて」と依頼するだけでは、一般的な回答になりやすくなります。
一方で、
- あなたは観光マーケティングの専門家です。
- 東三河エリアへの来訪促進につながる企画を考えてください。
- 対象は初めて東三河を訪れる20〜40代です。
- 滞在時間は半日程度を想定します。
- 地域の食・自然・体験を組み合わせた案を出してください。
このように伝えると、AIはより具体的な条件に沿って回答しやすくなります。
特に観光分野では、モデルコースの企画、イベント告知文の作成、FAQの整理、SNS投稿案の作成、地域資源の見せ方の整理など、AIを活用できる場面は多くあります。
AIに推されるために必要なのは、人に推される情報づくり

セミナー後半では、AI時代の検索と情報発信について解説しました。
これまでの検索では、ユーザーがキーワードを入力し、検索結果の一覧からWebサイトを選んで訪問する流れが一般的でした。
しかし現在は、AIが複数の情報をもとに「概要」という文章を生成し、ユーザーに答えや提案を返す場面が増えています。
観光分野でも、「豊橋で子連れにおすすめの宿は?」「東三河で半日楽しめる観光コースは?」「地元らしい食事ができるお店は?」といった質問に対して、AIが情報を整理し、ユーザーに提案する時代になりつつあります。

つまり、観光事業者や地域団体は、AIを業務で使うだけでなく、AIに見つけてもらえる情報を整えておくことも重要になります。
ただし、AIに推されるために必要なのは、小手先の技術論ではない。セミナーで伝えたのは、「人にとってわかりやすく、信頼でき、推薦したくなる情報を積み重ねること」です。
AIに推されるための近道は、まずリアルの人に推される状態をつくること。この記事はいいね!参考になるねって言ってもらえること。
これは、観光事業者にとっても地域団体にとっても、今後ますます重要になる考え方です。
観光事業者が整えておきたい5つの情報発信対策

1つ目は、SEO対策です。
生成AIでの検索行動が増えていく未来があっても、土台はSEO対策です。自分たちが届けたいターゲットに対して必要な情報をこと細かく提供し続けていくことです。一般的な悩みを解決する内容から、自社だから提供できる独自情報まで。良いことだけでなく、まだ出来ていないこと、他社より劣ることも正直に伝えていく「姿勢」が大切です。
2つ目は、AIフレンドリーなコンテンツ設計です。
とはいえ、システムとって扱われやすい文章にすることも大切です。例えば、結論を先に書く、FAQ形式で疑問に答える、数値や事実を明確にするなどです。結果的に、人にもAIにも理解しやすい文章に整えることに繋がります。

3つ目は、一次情報の発信です。
実際に現地を訪れたスタッフの体験レポート、施設のこだわり、来訪者の声、地域ならではのストーリーなど、自社や地域だからこそ発信できる情報は、AI時代においても価値の高い情報になります。
4つ目は、サイテーション戦略です。
楽天トラベル、じゃらん、Googleビジネスプロフィール、観光協会、地域メディアなど、他の人から、ネット上で言い換えると外部サイトで言及・推薦される状態をつくることも重要です。
5つ目は、コンバージョンページの最適化です。
AI検索で興味を持ったユーザーが最終的に訪れるページ。必要な情報がわかりやすく整理されているかが、問い合わせや予約につながるかを左右します。
AI時代の情報発信では、SNSだけを頑張ればよいわけではありません。SNSで関心を広げ、Webサイトで信頼できる情報を整える。
その両方が重要になります。
参加者からも実務に活かせるとの声

セミナー後のアンケートでは、「参考になった」との声もいただきました。特に多かったのは、生成AIへの指示の出し方に関する気づきです。
「今までAIを業務で使うときに、雑に使っていてそれなりの成果しかなかったので、今回の指示の出し方はとても参考になった」
「要件設定や指示内容を分けて工夫することで、精度の高い回答が得られることを学んだ」
といった声がありました。
また、後半の「AIに推される情報発信」についても、
「AIにおすすめの飲食店を聞くことはあるが、そこに自分の施設が出てくるかという発想がなかった」
「AI対策においてもSEOが引き続き重要であり、FAQや一次情報を発信していく重要性を感じた」
といった感想が寄せられています。
さらに、今後取り上げてほしいテーマとして、「AIを含めたWeb集客」「観光×AI」「SNSの活用方法」「AIに推されるPR戦略」などが挙がりました。
観光分野におけるAI活用は、「便利そうだから試す」段階から、集客や情報発信にどう活かすかを考える段階へ進みつつあります。
AIを使う力と、AIに見つけてもらうための情報発信力。
この両方を高めていくことが、これからの観光事業者や地域団体にとって重要なテーマになっていきます。
まとめ|観光事業者がAI時代に備えるための第一歩

今回のセミナーでは、生成AIを業務で活用するための基本的な考え方と、AI時代に選ばれる情報発信についてお伝えしました。
生成AIは、特別な人だけが使うものではありません。
役割を与え、前提条件を伝え、対話しながら使うことで、日々の業務を支える相棒になります。
一方で、AI時代の情報発信において大切なのは、小手先のテクニックではありません。
人にとってわかりやすく、信頼でき、推薦したくなる情報を整えること。その積み重ねが、結果としてAIにも推されやすい状態につながります。
観光事業者や地域団体にとって、AIは「使うもの」であり、同時に「選ばれるために備えるもの」でもあります。
まずは日々の業務でAIを使ってみること。
そして、自社や地域ならではの一次情報を、Web上でわかりやすく発信していくこと。
それが、AI時代に備えるための第一歩です。
講演・研修のご相談について
株式会社ダブルノットでは、生成AI活用、デジタル活用、Web・ECマーケティング、地域事業者向けの情報発信支援など、企業・団体の課題に合わせた講演・研修・伴走支援を行っています。
「生成AIを業務に取り入れたい」
「社員向けにわかりやすいAI研修を実施したい」
「観光協会・地域団体向けにAI時代の情報発信を学ぶ機会をつくりたい」
「AIに選ばれるWebサイトやコンテンツづくりを進めたい」
このようなご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
