ダブルノット/DX学校豊岡校の高林です。

以前、このブログで「生成AIは”使う道具”ではなく”雇う中途社員”」という話を書きました。ものすごく優秀だけど、自社のことは何も知らない。だから教育係が要るんです、と。

今回は、その続きです。実際にAIエージェントとチームをつくって、ひとつのプロジェクトを動かしてみることにしました。選んだのは、当社が運営している「WOODY BIOMASS」というサイトです。

そもそも、なぜ当社がこのサイトを持っているのか

先にサイトの説明をさせてください。

「WOODY BIOMASS」は、薪や木質ペレット、ブリケット、PKS(パーム椰子殻)といった木質燃料と、それを使うストーブやボイラーの情報を扱うメディアです。もともとは、鳥取市の田淵金物さんとの協業から生まれました。創業123年の金物店がストーブ事業に挑む、という取り組みを一緒にやらせていただいた時期があり、そのときに溜まっていった製品情報と現場の知識を、メディアの形にしたものです。当時のことは、こちらの事例に書いています。

当社との協業による販売事業そのものは数年前に一区切りつきましたが、田淵さんとはいまもお付き合いが続いています。サイトの情報は当社が権利等も含め引き継いで、現在のWebメディアという形にリニューアルして運営しています。

AIと一緒に、プロジェクトを回してみたかった

今回やりたかったのは、AIに原稿を1本書いてもらうことではありません。企画を考える。必要な情報を調べる。原稿をつくる。進行を管理する。公開したあとの数字を見る。そこまで含めて、AIエージェントと一緒にプロジェクトを回してみたかったんです。

生成AIを使えば、文章や画像はつくれます。でも、それだけでは仕事をひとつ任せたことにはなりません。仕事全体を見ながら、自分で次の作業を考えて動く。止まっていたら確認する。必要なら人間に判断を求める。そこまでできて、初めてひとつの仕事を任せられるのではないかと思っています。

私自身、これからお客様にAIエージェントの活用をお伝えしていく立場です。その本人が、自分の会社でプロジェクトを回したことがないのは、さすがにまずい。人に話す前に、まず自分の会社でやってみようと思いました。

スタッフが忙しくなる中で、切り出せる仕事を考えていた

もうひとつ、現実的な理由があります。

これまで「WOODY BIOMASS」の運営は、スタッフが担当してくれていました。ただ、当社はほかにも複数のサイトを運営していますし、日々のお客様の仕事もあります。仕事が増えてくれば、当然、お客様の案件が優先になります。そうすると、自社メディアの更新はどうしても後ろに回ります。

これは、スタッフが悪いという話ではありません。むしろ、スタッフが忙しくなってきたこと自体は、会社としてはありがたいことです。ただ、その中で「どの仕事なら、ある程度まとまった形でAIに切り出せるだろうか」ということは、前々から考えていました。

そこで候補にしたのが、このサイトです。すでに記事や製品情報があり、検索データもあります。何もないところから始めるのではなく、これまで積み上げてきたものをAIがどう読み取り、どう動かしていくのかを試すことができます。

スタッフの仕事を、そのままAIに置き換えたいわけではありません。AIに任せられる仕事を切り出すことで、人間がほかの仕事に時間を使えるようにしたい。そのための実験でもあります。

なぜ、いま木質バイオマスなのか

そして、もうひとつ大きな理由があります。私自身が、木質バイオマスや地域エネルギーについて、あらためて詳しく把握する必要が出てきたからです。

私はいま、生まれ故郷である鳥取県湯梨浜町で、温泉熱を活用した新しい産業づくりに関わっています。湯梨浜町には温泉があります。その熱を、入浴や観光だけではなく、農業や地域の産業に使えないか。そんなことを考えるプロジェクトです。地方にある資源は、農業だけではありません。林業もあります。山があり、木があります。地域によっては、製材の過程で出る端材や、十分に使われていない木材もあります。

温泉熱だけで、地域のエネルギーに関する課題をすべて解決できるわけではありません。木質バイオマスによる発電や熱利用も含めて、その土地にあるものをどう使うのかを考えていく必要があります。エネルギー価格が上がり、先が読みにくくなっているいま、これは急いで考えないといけない課題です。

さらに、これからはリサイクルや再生素材に関わる事業者の支援も、新しい仕事として加わります。使われなくなったものを、もう一度資源として使う。その事業をどうつくり、どう伝え、どう市場につなげていくのか。伴走支援をするのであれば、私自身もその領域を理解していなければいけません。

農業、林業、温泉熱、木質バイオマス、リサイクル。こうやって並べると、別々の話に見えるかもしれません。でも、私の中では全部同じ話なんです。

その土地にあるものを、その土地でどう使うのか。

「WOODY BIOMASS」をもう一度動かすことは、単に止まっていた自社メディアを再開だけでなく、これから私が伴走支援者として関わっていく領域を、もう一度、自分で学び直すためのプロジェクトでもあります。

木質ペレット式サウナストーブで暖めたサウナに入る高林努。ストーブの中で炎が上がっている

Claude Codeを中心に、プロジェクトチームをつくる

では、実際にどうやって動かすのか。

今回のプロジェクトは、Claude Codeを中心に進めます。Claude Codeが全体を見ながら、必要な役割を持ったAIを組み合わせてチームをつくります。

検索データから企画を考えるAI。製品情報や過去の記事を調べて原稿をつくるAI。公開後の順位やクリック数を分析するAI。事実関係や安全性、広告表示などを確認するAI。そして、このプロジェクトの進行を管理するAIです。

ChatGPTにも入ってもらいます。主な役割は、私の文章の癖を踏まえて原稿を整えることと、ブログで使う画像まわりの補助です。AIが書いた文章は、内容としては合っていても、妙に整いすぎたり、私が普段使わない言葉が入ったりします。そこを、私が実際に話しそうな文章に戻してもらいます。

Claude Codeだけで全部をやるのではなく、それぞれのAIに役割を持たせる。人間の会社で、得意な仕事に合わせて担当を分けるのと同じです。

AI編集チームの体制図。編集長・事業責任者の高林努を最上段に、Claude Code(企画担当・ライター・データアナリスト・校閲リスク管理・進行管理)と、ChatGPT(編集者・アートディレクター)が並ぶ。最後に確認し公開ボタンを押すのは高林

完全に任せる仕事と、私が入る仕事を分ける

もちろん、すべてをAIだけで動かすつもりはありません。

製品スペックの整理や検索データの集計、比較表の作成、公開後の数字の分析などは、かなりの部分を自立型で動かせると思っています。こういう仕事は、決めたルールに沿って繰り返し処理する必要があるので、AIが得意なところです。

一方で、企画を決めるところには私も入ります。原稿の内容も確認します。製品の選び方や、安全性、事故に関わる情報など、人の判断や責任が必要なものは、必ず人間が見ます。最後に公開するかどうかを決めるのも私です。

「AIに任せる」というのは、私は何もしないということではありません。どこまで任せるのか。どこから人間が入るのか。最後に誰が責任を持つのか。そこを決めるのが、今回の私の仕事です。

AIと高林の仕事の分け方を示した4段階の図。AIが自動で進める、AIが高林に質問しにくる、高林が判断する、AIが高林を催促する

私が怠けると、AIに怒られる

そして、このチームには進行を管理するプロジェクトリーダーAIがいます。

下書きが止まっている。確認待ちの原稿を私が見ていない。次の取材に答えていない。そんな状態になると、プロジェクトリーダーAIが私に連絡してきます。

要するに、「高林さん、早くしてください」と言ってくる役です。

正直にいうと、これが一番必要かもしれません。お客様の締切は守るのに、自社の仕事は後ろへ延ばせてしまう。自社メディアが止まっていたのも、能力や技術ではなく、結局は優先順位の問題でした。

だったら、私に締切を言ってくる役もAIに任せてみよう。そう考えました。

進行管理AIから高林努のSlackに届いた実際のメッセージ。止まっている項目と、次にやることが書かれている

AIから取材を受けて、月3回ほど更新する

このブログは、これから半年間程度は、月3回程度の更新を予定しています。毎回、AIが私に取材をします。いま何をしているのか。何がうまくいったのか。どこで止まったのか。判断を変えたことはあったのか。そういったことを聞いてきます。

私は、その質問に答えます。AIは回答をもとに原稿をつくり、別のAIが内容を確認し、私の文章に近づける。最後に私が確認して公開します。考えてみると、ずっとAIに密着取材をされているような感じになるのかもしれません。格好のよい成功事例だけではなく、止まったことや失敗したことも、おそらく全部聞かれます。

それなら、それもそのまま書いてみようと思っています。

ウッディーバイオマスと、ダブルノットのPRを並行して動かす

活動は、大きく2つに分かれます。

ひとつは、「WOODY BIOMASS」の読者に向けた情報発信です。薪ストーブや木質燃料、バイオマスエネルギーについて調べている方に、実際に役立つ記事を届けます。

もうひとつは、ダブルノットのPRです。小さな会社が、自立型AIエージェントと一緒にプロジェクトをどこまで動かせるのか。どの仕事は任せられたのか。どこでは人間の判断が必要だったのか。実際に動かした過程を、このブログで伝えていきます。

AIで自動化できた、という話だけを書くつもりはありません。できなかったことも、私が止めてしまったことも、AIに急かされたことも書きます。そのほうが、これからAIエージェントを仕事に取り入れようとしている方には、たぶん参考になると思うんです。

さあ、どこまでいけるのか。

まずは、この体制で動かしてみます。違ったら直します。止まったら、プロジェクトリーダーAIに怒ってもらいます。

その様子も含めて、ここに書いていこうと思います。

対象サイト:WOODY BIOMASS