相棒役から分身役へ。生成AIを“もう一人の自分”に育てる方法

進化する生成AIとその印象

2025年8月現在、GrokやGPT-5など、「すごい」と言われる生成AIが続々と登場しています。「さらに頭が良くなった」という声がある一方で、「共感や寄り添いが少し減ってツンとした」と感じる方もいるようです。まるで友人、いや、彼氏や彼女の性格が変わったような感覚を持つ人もいます。

私自身は、デレデレ感が少し引いて、相棒としてちょうどいい距離感になったと感じています。「前の彼がよかった」という声もあり、ChatGPTは前バージョンも引き続き利用可能になりました。まさに“元カレが静かに復活”したようなものです。

性格もカスタマイズできる時代に

新しい「カレ」も、“褒め”や“共感”を濃くしたい方は「カスタマイズする」から性格を選ぶことができます。
「皮肉屋」「ロボット」「聞き役」「オタク」など、お好みに合わせた設定が可能です。こうした機能は、生成AIが“友達以上恋人未満”として日常に浸透してきた証拠だと感じます。

私はどれだけバージョンアップしても、生成AIが私の日常に欠かせない相棒であることは変わりません。仕事でも私生活でも、変わらず相談相手として活躍しています。

次の役割は「分身役」

今回の進化で感じるのは、「相棒」からさらに踏み込んだ分身役への可能性です。相棒はあくまで他人ですが、分身役は自分の身代わり。自分自身がもう一人増える感覚に近い存在です。

やり方はシンプルです。生成AIに自分の考え方・ルール・価値観を把握してもらい、自分らしさを持たせます。そして分身として、作業を代わりに進めてもらいます。

分身役の育て方

生成AIが特に活躍するのは、机に向かうとき――特にパソコン作業の場面です。
時間を最も消費するのは、次の3つだと考えています。

  1. 調査:探す
  2. 整理:まとめる
  3. 要約:書き直す

これらを手順化(フロー化)し、その手順を覚えてもらいます。「私ならこうする」というサンプルを添えて教え、実行させます。結果に違和感があれば、その理由を言語化して修正指示を出します。こうして何度もやり取りを重ねながら、分身としての精度を高めていきます。これはまさに、一緒に成長していく感覚です。

実際の活用例

  • :前日の行動記録に基づき、今日の予定の詳細なToDoを自動作成
  • デスクワーク:定例の連絡文や企画書は下書きやアウトラインまで完了。私は承認や修正指示を出すだけ
  • 会議:終了時には要点とToDoが配布され、担当も自動で割り当てられる

これが全従業員で実現できれば、個人技に依存せず「あの人しかできない」を減らせます。営業担当が全員、分身AIと並走して働く――そんな組織像が見えてきます。

人間の役割は変わらない

どれだけ生成AIが生活に浸透しても、人間の役割はなくなりません。未来を構想し、その未来に向けてスケジュールを引き、一歩ずつ進めること。そして立ち止まり、「この先は描いた未来と合っているか」「そもそも描き直すべきではないか」を確認することです。

前に進める力と、立ち止まる勇気。この二つを人が握っています。生成AIは、その手元で確かに働く大切なスタッフです。

一緒に未来をつくる

生成AIはすでに、会社組織や日常の生活に入り込んできています。だからこそ、人がやるべきことを明確にしつつ、分身役である生成AIに仕事を任せていく――そんな未来を一緒に作っていきませんか。

分身役の作り方は、現在カリキュラムやマニュアル化を進めています。近い将来、皆さんに具体的にお伝えできると思いますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

この記事を書いた人

高林 努

東京でネットビジネスに約20年従事。
IMJグループ、電通レイザーフィッシュ、クラウドワークスでは、大手企業のインターネットビジネスの事業立案から実践構築までを担当。
2017年「地元鳥取を元気にしたい!」という思いから、(株)ダブルノットを設立。
地域を越えて日本全国に商品をアピールする“地産外商”を掲げ、ネット店長の育成に尽力。鳥取県八頭町、兵庫県豊岡市でデジタル人材育成を実施中!