私、高林努は鳥取県米子市にあるデジタルハリウッドSTUDIO米子の講師としてデジタルマーケティング、特にネットショップに関わる講座を担当しています。2023年11月24日(金)担当した講義について紹介させて頂きます。今回はWebデザイナー専攻の受講生を中心に“ネットショップ運営に必要なwebサイト制作スキル”と題して話をしました。
デジタルハリウッドSTUDIO米子とは、山陰で活躍するクリエイターたちが集う場所。未経験からWeb業界などに転職できるスキルを習得できるクリエイティブスクールです。デザイナーや動画クリエイターなど、デジタルクリエイターの養成スクール・大学を運営するデジタルハリウッドが全国に展開しているフランチャイズ型スクールです。2023年12月で11年目になります。
https://school.dhw.co.jp/school/yonago/
以下は講義の内容をまとめたものです。
デジタルハリウッドSTUDIO米子で学んだデジタルクリエイティブツール(Adobe CreativeCloud等)やWordPress構築スキルを活かし、ネットショップの運営するために必要な考え方や集客方法について話をしました。特にコンテンツSEOの大切さ、つまりGoogleの検索品質評価ガイドラインで定義されてる評価基準「E-E-A-T」について理解し、この評価基準を重視したコンテンツの作り方ついて、さらには生成系AI(ChatGPT)を活用方法について話をしました。ご興味のある方はぜひご覧ください!
1. ネットショップを運営するとは
どこに出店するのか
ネットショップ運営は、売上を出す運営をすることが重要です。
そのためにはまず、お店の出店場所を選択する必要があります。
出店場所は、大きく分けて2つ
- ショッピングモール(楽天やAmazonなどのECモール)
- 路面店(自社webサイトの開設)
モールの販売戦略に合わせた販売戦略づくりをするのか、自社独自の販売戦略づくりをするのか。それぞれのメリット・デメリットや店舗の運営にかかる費用を見ながら出店場所を決めていき、ツールにある仕組みの中で自分の売りたい商品をどう見せていくか?考えていきます。
誰がお店の運営をするのか
ネットショップ運営はリアルの店舗の運営と同じで、店舗の運営は、店長の仕事です。
2. ネット店長の役割
ネット店長が1番最初にやる大切なお仕事は、お客様と対話をすることです。
お店ができても営業しないといけないですよね。
自分の商品を買ってもらいたいお客様に来店してもらうために必要なのがwebページです。
お店の商品を紹介するために商品ページを作成したり、商品に関する情報をメールで提供したり。HTMLや画像を使って、webページを作っていきます。
ネット店長が1番最初にやる大切なお仕事は、お客様と対話をすることです。
お店ができても営業しないといけないですよね。
自分の商品を買ってもらいたいお客様に来店してもらうために必要なのがwebページです。
お店の商品を紹介するために商品ページを作成したり、商品に関する情報をメールで提供したり。HTMLや画像を使って、webページを作っていきます。
活動場所はインターネットだけどやることはリアルと同じ
リアルのお店と同じで、商品を良いなと思って入ってきてくれたお客様に接客をしないといけません。
インターネット上では、webサイトをはじめSNSやブログを通じてお客様と出会います。
リアルでは実際に商品をお見せしながら接客をすると思いますが、インターネットでは、商品ページの中にある文章・画像・動画で接客をします。
「この商品の特徴はなんですか?」など、お客様からくる質問も想定しながら、webサイト・商品ページを作っていきます。
3. インターネットならではのお客さまとの出会い方
・どういうふうにお客様と出会うか
みなさん最近オンラインで買い物した時のことを思い出してほしいのですが、インターネットで買い物をしたお店ってどこか覚えていないですよね?
リアルでの買い物だと、まずはお店の名前を覚えてもらうところから始まります。
インターネットだと、お店の名前を覚えてもらう必要はありません。
お客様の一番の要望は、欲しい商品や自分の悩みを解決してくれる商品と出会うことです。
結果的に商品が届いた時、住所をみて「あ、この商品〇〇県のお店なんだ!」とお店を知る。
これがインターネットの買い物の特徴です。
・インターネットでのコミュニケーションの取り方
自社の商品を買ってほしいお客様との出会い方ですが、これまではテレビCM、新聞広告などのリアルコミュニケーション。社名・商品名を知ってもらう認知活動でした。
これからはデジタルコミュニケーション(検索→webサイト、ブログ、SNS)。多くの場合が、悩みを検索して調べ、解決策(商品)を見つける。
買って終わりで店舗名はなんだったのか?ましてやブランド名も覚えていない。
欲しいものを探すときの会話が変わってきた。これがインターネット上の買い物の大きな違いです。
商品の必要な課題を見つけ出して、ブログやSNS、メルマガなどを通じて、その課題に関する情報を提供していきます。
・どんな悩みを持った人が、どんな検索でサイトにくるのか?
ダブルノットが実際に運営しているネットショップ「焼き鳥・大黒堂」の店長になったと仮定して、大黒堂に訪れるお客様がどんな事を考えて検索をしているのか?分析をしていきました。
アクセス解析をすると、大黒堂に来店してきてくれるキーワード第1位は「焼き鳥 部位」です。
「焼き鳥 部位」を検索する人は、どんな時・どんなシチュエーションで検索をしているのでしょうか?
大黒堂に来店してくれるキーワードTOP5は、大黒堂も鳥取も大山どりも意識しなかった人です。
「焼き鳥 部位」を検索する人はどんな人か?参加者の方から出てきた回答です。
・食べた焼き鳥は一体どこの部位なのかを知りたい人
・硬い部位なのか、柔らかい部位なのか、脂はどのくらいの部位なのかを知りたい人
高林の想定は、こうです。
どこにいる誰々さん という個人情報までは分かりませんが、「この時間帯にこんなキーワードを検索する人で、関連ワードとして、次にこんなキーワードを選ぶ人なら、シーンとしては居酒屋さんにいる、家にいる。」など、シーンが分かってきます。
この方達は、お店がどこなのかもどんな鶏なのかも意識していません。
ですが、焼き鳥お客様が「焼き鳥 部位」を検索した時に、鶏の部位の名称や場所、由来をまとめたブログがあると、その方が大黒堂というお店に出会うきっかけになります。
これを踏まえると、インターネットでのコミュニケーションは、テレビCMなどのリアルなコミュニケーションとはコミュニケーションの取り方が逆ですよね。
1人の店長が、様々なニーズを持った人たちに対して、そのニーズに応える様々なブログを書いています。
様々なニーズに応えるブログがあるということは、24時間365日様々なお客様の悩みに応えるために待機してくれている営業担当がたくさんいるイメージです。
ちなみにリピートしてくださるお客様は、お店の名前や商品名で選んで検索をしてきてくれています。
4. 検索サービス“Google”と仲良くすることが勝ちパターン
Googleでキーワードを検索した時に、検索結果の上位に自社のページを出すための対策をすることを「SEO」といいます。
検索サービスであるGoogleに合わせて、最適化するためのサイトづくり・ページづくりをしていくことが、ネットショップ運営において、1番大切といっても過言ではありません。
では、どうやって最適化していくかについてですが、Googleが何を考えているかをまず理解します。
Googleは、利用者にとって心地よい情報をいち早く提供してあげる ということを考えています。
・Googleの検索結果上位に出てくる基準
Googleが良いページと評価するものは、昔から変わっていません。
それは、以下の2つです。
- 良い記事(コンテンツ)があるか
- リンクを貼られた数(SNSでのシェア・引用数)
・良いコンテンツの定義 / Googleが重視するEATとは
Googleは、良いコンテンツと判断する際に「EAT」という評価基準を重視しています。
Expertise(専門性) 特定分野の専門家であること※資格の有無ではない
Authoritativeness(権威性) 特定分野で認められている存在であること
Trust(信頼) 運営元やコンテンツの内容が信用できること
EATについて語っている記事・動画はたくさんあるので、ここではダブルノットが良いコンテンツを作るために取り組んでいることを3つ紹介します。
- 検索意図を満たす記事であること
- 自分で考えて自分で書く(コピペNG)
- 実名で名乗ること。誰が書いたかを明確にする
色々な人の悩みを解決するブログを書こうと思った時に、競合がUPしているブログなど、様々な情報を参考にすることはあると思います。
もちろん経験者の話・意見を聞くこともあると思います。
大切なのは、それを聞いた上で自分の意見を書いていくことです。
・検索意図(Do-Know-Go-buy)について
先ほど、ダブルノットが良いコンテンツを作るために取り組んでいることとして「1 “検索意図”を満たす記事であること」をあげましたが、利用者がどういう目的で検索をするのか?Googleが提唱する4つの検索意図があります。
講義では、焼き鳥大黒堂を題材に、実際にGoogle検索の画面を見ながら、参加者の方と検索意図を理解しました。
Do&buyクエリ(〜したい、〜を買いたい)
「焼き鳥 お取り寄せ」で検索をすると、“買いたい”という意図にあった商品紹介ページが表示されます。
そしてWeb広告の多くは商品紹介が主ですので、広告が多く表示されます。
※BuyはDoに派生したクエリなのですが、分かりやすくするためにBuyはDoと一緒に考えます。
Knowクエリ(〜を調べたい)
「焼き鳥 部位」で検索をすると、“調べたい”という意図を満たすブログ記事や画像が上位に表示されます。
文章よりも画像がKnowクエリの検索で上位表示される理由としては、「画像が最もユーザーにとって満足できる情報」とGoogleの検索エンジンが判断しているからです。
Goクエリ(〜に行きたい)
「焼き鳥 米子」で検索をすると、“行きたい”という意図を満たす地図や食べログ、Rettyが上位に表示されます。
地名が入ると、その場所に行きたい!という意図が強くなるという証拠です。
上部に出てくるブログや商品ページは、あなたにとって1番有益な情報です!とGoogleが評価してくれています。
さらに、検索結果の上部に出てくる画像・ショッピング・地図・ニュースなどのメニュー(バーティカル検索)も、検索意図(Do・Know・Go)に合わせて表示順が変わります。ここを見るだけでもgoogleが検索意図をどう評価したのか?がわかります。
このようにGoogleは、利用者が求めている情報をいち早く提供するために、検索意図に合わせた検索結果・情報を常に提供しています。
Googleでキーワードを検索した時に、どうやったら検索結果の上部に自社のページが出てくるか?対策をすること。これがいわゆるSEOです。
・EATからEEATへ
ここ数年で、ネット上にある情報を調べ、それを綺麗にまとめてブログを書くことができる人たちが増えました。
そこで昨年の12月から、EATにExperience(経験)が加わり、信頼性そして自分自身が経験したことを書いているかどうか?が、今大切になってきています。
高林なりのEEATの解釈は、「大切なことは良くても悪くても自分自身が経験をしたこと、オリジナルの研究や実行結果であること。そして自身の経歴を公表しつつ、他専門家による監修・精査などもあると良い」です。
例えば、「焼き鳥の焼き方を失敗しました」という経験をブログに書くことはとても経験値が高いです。
焼き方を失敗したけれど、こうしたら改善しました という改善策まで書いて、ブログとして情報提供をしてあげると経験値が高いブログになります。
調べた情報だけではなくて、調べた情報を自分が実際にやったかどうか?が必要で、そういった部分も今Googleが評価の対象として見ています。
・ダブルノットが運営する「焼き鳥 大黒堂」のネットショップの事例
ダブルノットが運営するネットショップでも、スタッフ自身が体験したもの、そして誰がブログを書いたのか?自己紹介をしています。
例えばBBQブログでは、BBQにピッタリな大黒堂の焼き鳥を使ってスタッフ自身が体験したものを書いています。
商品の紹介に対しても、スタッフ本人が食べた評価、自分達が実際に焼き鳥で体験した情報を記載しています。
インターネットのお店ですが、その商品をどのくらい体験したのか?体験したものをきちんと情報として提供していくことが大切です。
5. AI部下と一緒に仕事をしてみよう
ダブルノットは今年の10月から、AIを活用したネットショップ運営に挑戦をしています。
現在鳥取県内の事業者さんの5つのネットショップを運営させていただいています。
2023年1月頃まで社員5名でやっていましたが、現在は社員2名+アルバイト1名で運営をしています。
そして、外部委託先としてライター・デザイナーを雇っていましたが、今はAIにチェンジをしていっており、ライターとしてChatGPT、デザイナーとしてCanvaを利用しています。
ネットショップをやるということは、どのくらい安いコストでやっていくか?コスト削減も大切です。
社員5名+ブログ執筆・デザインを外部委託していた以前と比べて、販管費は半額以下の60万円になりました。
AIを使って実際に何ができるか?
私はAIを、月3,000円契約の自分にとって優秀で知識が豊富な部下と、よく言っています。
ダブルノットでは、主に下記の作業にAIを活用して、ネットショップの運営を行っています。
- データ分析
- コンテンツづくり
- 問い合わせ業務(メール対応)
- 補助金申請書づくり
自分が経験したことを書き出していくことは簡単ですが、文章を整えていくのは大変ですよね。
なので、その文章のたたき台をAIに作ってもらう という使い方をします。
ChatGPTは、自分の「こんな文章・ブログを作りたい」という方向性を導いてくれます。
それをそのまま世の中に公開するかはネット店長さんの判断ですが、そのままあげてしまうと課題があるので、“参考になる文章を作ってくれる部下”という使い方をダブルノットはしています。
使ってみて分かったこと
会社で、数年AIの利活用に取り組んでいる中において、分かったことがあります。
それは、「使える人と使えない人がいること」です。
使える人の定義は、ゴールをイメージすることができる人です。
使いながら、こうしてほしい・ちょっと内容が違うから修正してほしい とAIと何度も壁打ちを行うのですが、それができる人は、自分が最後納品したいもの、作りたいものがイメージできている人 なんです。
AIが得意な仕事ってなに?今後AIに取って代わる仕事とそうでない仕事
AIは、受け身の仕事や作業、提案は大得意です。
指示がくるまで待っていて、指示がきたら即座にパッと動く。
そういった、あんなことできない?これやってほしい という仕事は、おそらくAIに完全にとって変わると私は予想しています。
一方で、攻めの仕事。
こうしませんか?いつまでにやろう!といった、交渉や実行などの会話・予定を決める などは、AIはまだなかなか難しいと思っています。
そうした際に考えていかないといけないのは、今こういうものが足りないからこんなものを作らないといけない という課題を見つけていき、課題に対してこういうものを作りたいんだ!という解決策のゴールをイメージすることです。
言われたことを待っているだけだと、どんどんとAIに取って代わっていきます。
ですので、きっかけづくりの部分をAIに協力してもらう という使い方を推奨します。
今後のWeb制作の環境はどうなるか?
AIに仕事を奪われると心配する人もいるが、AIに精通した人に仕事を奪われるのではないか?
国立台湾大学の卒業式でスピーチをした際のジェンスン・フアンCEOの言葉
アメリカで半導体事業を行っているNVDIAのフアンCEOが言っていたことですが、AIに精通した人になれば、webやデザイン制作に対してニーズある人に変わっていきます。
「どんなデザイン・ページを作ったらいいですか?」ではなく、「私はこんなwebを作りたいまたは作れる。」「あなたの会社だったらこんなwebサイトが必要かもしれません。」という提案の仕方をできる人に変わっていかないといけません。
まとめ
ネットショップ運営に必要なwebサイト制作スキルについてお話しさせていただきましたが、web制作・ネットショップ運営は言われたことをすればいいということではない ということです。
売上を伸ばしていくために、どんなことをやっていかないといけないか?課題を見つけていき、SEOでも、解決するためのブログを書いていかないといけません。
その中にはIT企業がたくさん作っているITツールや機能があるので、自社に合うツールを選択し、上手に使っていきましょう。
最後に重要なのは、そのツールを使って中身をどう作っていくか?
デザイン、HTMLを作成する作業は、AIに切り替わっていくかもしれません。
しかしそれは、怖いと思っても仕方がありません。
ではどうするか?
AIは自分の方向性を導いてくれる部下として置きつつ、自分がどう変わっていくか?考えていきましょう。
今後もAIは、さらに進化していきます。
私たちもみなさんと一緒に学びながら、AIを上手く活用してネットショップ運営に取り組んでいきます。
講義にご興味をもってくださった方へ
ダブルノットでは私たちのネットショップ運営の事例をもとに、企業・自治体に向けて、IT人材の創出や育成、ChatGPTなどの生成系AIの活用方法などのセミナー・講義をしています!
ご興味のある方は、イベントのご参加、講師の依頼などお待ちしています。