〜「自分の軸と数字」に悩むプロフェッショナルへ。Your Fun合同会社 増田綾香氏の挑戦〜
2025年8月から10月にかけて「AI相談役とつくる事業計画づくり講座」を受講いただいた、Your Fun合同会社の増田綾香さんにインタビューさせていただきました!
北海道釧路を拠点に、広告販促・ブランディング・デジタル人材育成などを展開する増田さん。2002年に広告代理店でデザイナーとしてキャリアをスタートし、プランナーとして100社以上の企業を支援してきました。
2024年12月、自らの理念を実現するためにYour Fun合同会社を設立。「頼ってくれるお客様に応えたい」「業務を共にする外部パートナーと気持ち良く働く」という信念を軸に、地域密着の事業とDX学校釧路校の運営を行っています。
今回は、自身の会社を本格的に成長させるため、生成AIを活用した事業計画作成講座を受講したきっかけや、講座で得た学び、受講後の事業における具体的な変化についてお話を伺いました。

クライアントと向き合う中での「自分の事業計画」の壁
私はこれまで、北海道釧路を拠点に地域の中小企業や酪農業界を中心に、販促・ブランディング・デジタル化支援などに携わってきました。キャリアを通じてコンサルティングやマーケティング、広告販促の領域に関心を持ち続け、クライアント様の事業計画や補助金申請の文書作りは、何本も手掛けてきた実績があります。
一方で、自分の会社の計画になると手が止まることに悩んでいました。特に収支計画など数字への苦手意識が強く、創業以来きちんとした計画を立てたことがありませんでした。
受講を決意した背景には、経営者としての強い理念と、それを実現したいという動機がありました。前職では当時、仕事への向き合い方や提案方法での価値観の違いを感じ、「より自信を持ってクライアント様に向き合うために、自分自身が自由に判断できる環境を作りたい」と決意。そのタイミングで本講座に出会いました。「苦手な数字計画も一緒に考えてもらえる」と期待して、受講を決めました。
AIとの対話で紐解かれた事業の羅針盤。原体験と戦略の言語化
講座では、事業計画書の前に「なぜこの事業をやりたいのか」という原体験を掘り下げました。クライアント様に問い続けてきたテーマを、自分自身に向ける時間となりました。
高林先生からは、原体験こそが「事業の判断基準」であり、計画通りにいかないときの「燃料」になるという、事業の根幹となる考え方を教わりました。頭の中で常に抱いていた「やりたいことや姿勢」が言語化され、見える化されたことに、大きな価値を感じました。
本講座では、生成AIを「右腕役」として活用しながら事業計画を具体化。特に、最も苦手意識があった数字計画については、AIとの壁打ちが大きな転機となりました。
講座の中で体験した「税理士AI」との壁打ちでは、今までになかった考え方で収支計画や事業計画が出てきたことに感銘を受けました。AIからのフィードバックは、打ち込んだ情報に基づいて計算して出してくれるため、「すごい」の一言に尽き、そのまま受け止めることができました。
しかし、AIが生成した計画も、高林先生からは「現実的でない」との指摘を受け、3年目には確実に黒字化する計画に修正する必要性を強調されました。このプロセスを通じて、AIは申請書のドラフト作成の「伴走者」であるが、最終的な数字の整合性や計画の現実性については、経営者自身が責任を持つという認識を強く持ちました。
独立・起業という大きな変革期にあった私にとって、旧会社からの移行に伴う、約20社の既存クライアント業務の引き継ぎ・整理が最重要課題でした。これを解決しなければ新事業に集中できないと考え、実務整理を優先。AI を使って契約書の雛形を作成し、競合回避条項を整備しました。感情的にならず、データに基づき冷静に処理できた点が大きな成果でした。
競合を避けるニッチ戦略。酪農×事業承継リブランディング
受講後の最も大きな変化は、自身の事業の軸を明確にし、ニッチな専門市場へ特化する戦略を確立できた点です。
当初、私はPRデザイン、デジタル事業、マッチング事業、酪農デザイン事業など複数のアイデアを持っていました。しかし、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)の結果、自身の強み(酪農分野の経験、ヒアリング能力)と市場の機会を結びつける戦略として、酪農業に特化したブランディングとストーリーづくりへリソースを集中投下する方針を決定。さらに踏み込み、「酪農 × 事業承継リブランディング」 という独自領域に特化する戦略を確立しました。
拡大する事業承継市場の中で競合が少なく、地域の実情を理解する立場として全国からの相談に応えられるポジションを目指しています。
講座を通じて、3年目には確実に黒字化する現実的な収支計画の重要性を認識し、初年度の売上目標を設定しました。現在、この策定した事業計画を基に、具体的な実行フェーズに入っています。
- ウェブサイト構築とコンテンツ作成:過去の実績が前職のものになっているため、「Your Fun」としての実績を蓄積し情報発信する場として、ウェブサイトの構築に着手しています。分析結果を踏まえて、デザイナーへの指示出しを終えたところです。
- ルールのマニュアル化:講座で得た知識を汎用性のあるものにするため、コンテンツのルール化やマニュアル化(動画制作用、ウェブサイト用など)にも取り組んでいます。
- 資金調達の準備:事業初期の赤字を補填する運転資金の重要性を再認識し、政策金融公庫からの融資検討や、小規模事業者持続化補助金への申請など、具体的な資金調達の準備を進めています。
現在は、外部パートナーに対して自身の事業運営方針や案件を進める上での一定の質やルールを共有しながら、一つずつ丁寧に向き合うことに注力しています。講座で得られた知識は汎用性があるため、クライアント様にも強く推奨したいと考えています。
私のように、「クライアント様の事業計画は作れるが、自分の事業の軸や数字に不安があるプロフェッショナルの方」、あるいは「独立・起業という大きな変化の中で、自身の強い想いを言語化し、AIと共に具体的な計画に落とし込みたい方」にとって、この講座は大きな力になります。
北海道釧路に残って働きたい、成長してまた戻ってきたいと言ってくれるような若者や学生と繋がりたい。そして全国の酪農家の方々の事業承継を支援し、地域に貢献していく。この強い思いを胸に、AI相談役と共に、これからも一歩ずつ計画を実行していきます。

