AI部下“ChatGPT”と一緒にネットショップを運営しよう!具体的な活用方法をご紹介

多くの方が、AIを複雑な技術や業務システムと捉えがちですが、もし部下としてみなしたらどうでしょうか?
この新しい視点から、ダブルノットのChatGPT活用事例をもとに、AIを利活用して一緒にネットショップ運営を効率化しませんか?

このブログでは、ネットショップ運営におけるChatGPTの具体的な活用方法、AIを使いこなせる人創り、AI利活用を前提としたネットショップ経営を紹介し、AIって意外と使いやすいかもしれない!という点をご紹介します。

できるだけ専門用語を使わず、分かりやすく掘り下げていきます。

1. ネット店長がAIの利活用をしてみた

ダブルノットが試みていること

ダブルノットでは5つのネットショップを運営している中で、AIを利活用して販管費を抑えて会社を運営していくことに挑戦しています。

2023年12月時点で、1年前と変わらず5つのネットショップを、社員1名+アルバイト1名に加えて、『ライターとしてChatGTPを活用、デザイナーとしてCanva』を活用し、販管費を昨年の3分の1以下の月45万円までコストを下げて、ネットショップの運営に挑戦しています。

鳥取県知事ChatGPT使用禁止発言

2023年4月20日、ダブルノットが拠点を構えている場所でもある鳥取県の平井知事が「政策提言などでChatGPTを使用するのは禁止」だと発言をしました。

この発言当時、鳥取県知事はChatGPTをどのように理解して話をしていたのか?
極論かもしれませんが、おそらく「今の社会を壊すことになるから利用をすることは鳥取県の未来にとってよくない」と、そんな風に思っていたのではないかと私は思います。

これは完全に間違いで、AIは大切な部下であり社員と同等です。
とても人間味があり、先人たちの知見をよく知っています。
AIでも様々な失敗をしていて、その失敗してきた経験に基づいて私たちに適切なアドバイスをしてくれる良き支援者であり、賢いパートナーです。

部下・社員であるChatGPTとは

ChatGPTを要約した「対話型の生成的事前訓練をし、注目機構を利用した深層学習ネットワークモデル」という言葉があるのですが、これを私の言葉で置き換えてみました。

2023年4月までの世の中にあるほぼ全ての公開情報を使って、膨大な量の文章の穴埋めテストをした結果をもとに、前の言葉の後につながる1番確率が高い言葉を予測し続けるプログラム。そのプログラムをチャットという人がよく使う仕組みに入れ込んだもの

文章を生み出す仕組み“LLM”とは

前の言葉の後につながる1番確率が高い言葉とはどういう事かというと、例えば「私は家に〇〇〇〇」という穴埋めテストを行った際に、どんな言葉が多く入れられたのか?人間が入力した文章の文脈を理解し、次にくる単語を予測した結果をもとに文章を生成する。
この一連の流れが、LLMの文章を生み出す仕組みです。

「文章の穴埋め作業をたくさんやっているのがLLMというモデルであり、LLMを活かした仕組みがChatGPT」

この言葉だけ覚えていただければ大丈夫です!

2. AIで何ができるの?

そんなChatGPTでどんなことができるの?ということですが、ダブルノットでは、ネットショップ運営を行う中で必要な以下4つの業務をChatGPTに移行しました。

  1. コンテンツ作り
  2. データ分析
  3. お客様の問い合わせ返信
  4. 報告書の作成

実際の操作画面を用いて、どのようにChatGPTに指示をし、どのようなプロセスで形成されるのかを、ダブルノットが運営しているネットショップ「焼き鳥大黒堂」を題材にご紹介します。

1.  コンテンツ作り

  1. ChatGPTに誰になりきってほしいのかを明確に書きます
  2. どんなブログの内容を書きたいのか、そして自社のどの商品を使うのかを明確に書きます
  3. どんな人にブログを見てもらいたいのかを書きます
  4. どのくらいの量を書いてもらうか、あるいは何章くらいに分けたいのかを書き、指示します。

ChatGPTが提案してくれた案の中で、どの案が良いか社内で議論しつつ、どの案にするか決めていく。
または、案のアイデアを残しつつ、その案を上手く抜粋してさらに別の良い案がないか?「もう一度考えて」と指示をして、案をブラッシュアップしていくという使い方もすることができます。

2. データ分析

ダブルノットはネットショップのデータ分析に、Googleが提供している分析ツール「Google Search Console(サーチコンソール)」を利用しています。
Googleサーチコンソールとは、どんな方がどんなキーワードで自社のネットショップに来店してきてくれたのかが分かるツールです。

  1. ChatGPTに誰になりきってほしいのかを明確に書きます
  2. 見てもらいたいデータはどんなデータなのか、データからどんな事を知りたいのかを書きます
  3. Google Search Consoleのデータをコピー・チャットにペーストし、指示をします

本来であれば競合と比較分析したいといった際、普通の打ち合わせであれば「では1週間後に打ち合わせしましょう」という話になるかと思いますが、ChatGPTであれば、1分程度作業するだけで分析結果が出てきます。
ただし、ChatGPTが出してきたこの分析結果も、本当に合ってるんだろうか?ともう一度自分たちで検証する必要があります。

3. お客様の問い合わせ返信

ネットショップの一般的な顧客対応は、メールのテンプレートがあり、そのテンプレートの文章をあなたのショップに合うように作り替える というものですが、ダブルノットはお客様の問い合わせ返信にもChatGPTを活用しています。

  • 題材
    大黒堂の年末年始の配送案内メルマガ
  • (仮)お客様からのクレーム
    希望の日時に届いてもらわないと困ります。
  1. どんなお客様からどんな内容のメールをもらったのかを書きます
  2. こちらがお客様にお送りしたメール・そのメールに対するお客様の返信内容をコピー・チャットにペーストし、指示をします。

年末年始キャンペーンの情報など、チャットに記載していない情報も、コピペしたメルマガの内容から読み取り、お客様のクレームに対する丁寧な文章を提案してくれました。

4. 報告書の作成

セミナー参加後に、社内に報告書を書かないといけない場面がありますよね。
こんな時にもChatGPTを活用して、会社に有効な報告書を作成することができます。

  1. どのくらいの量の報告書を書いてほしいのかを書きます
  2. 報告書に入れてほしい要素(良かった点・セミナーを受けて考えられる今後のアクション)を箇条書きで書き、指示をします。

一文しか書いていない良かった点なども、報告書を作成したいという思いを汲み取って、文章を膨らませて書いてくれました。

2. AIを使いこなすネット店長をどう育成するか? “AIが使える人創り

会社で使ってみて分かったこと

会社でChatGPTを導入し、社内で積極的に活用していこうという経営方針に変えてから分かったことは「使える人と使えない人がいること」です。

AIが使いこなせる人とは

  1. ゴールをイメージすることができる人
    最終的に、どんなものをChatGPTに作って欲しいのかをイメージできること
  2. ゴールに向かって何度でも修正依頼ができる人
    1回では理想のものは上がってきません。
    8割程度までChatGPTを活用して作成していき、最後の調整は自分でやっていきます。

目的が明確で想いを持っている人というのが、“AIを活用できる人” ということです。

社員が使えるようになるために必要なトレーニング

AIを活用できる人になるために、どんなトレーニングをしたらよいか?
今までは、部下の方に「こうしなさい」と教えられていたかと思いますが、部下はとても頭の良いChatGPTなので、上司の方は“教える”から“問いを立てる”という形で、部下の方をトレーニングしなければいけません。

まずは、自分が思い描いているものに対して、どうすると理想のものができるのか?問いを立てていき、質問文を自分達で作っていきます。
そのためには、まず“ゴール”を把握することです。
これから何を目指すのか?目的は何なのか?世の中にどんな事例があり、どんな競合がいるのか?を把握すること。
そして“比較”。他社の事例を勉強した上で、じゃあうちの会社はどうするか?うちの会社の良さはこうだから、自分達はこうしていきたい!という思いが大切になります。
最後に、何からやっていくか?“優先順位”を決めて、タスク分解をしていきます。

こういった問いを立て、さらに問いをテキストに書き出すという形で、AI(ChatGPT)を使いこなすトレーニングをしていきます。

様々なものがChatGPTに置き換わった

ここ最近ChatGPTは、文章だけではなく、電話やデザインなどの画像作成もできるようになってきました。

1.コンテンツ作成 でChatGPTが提案してくれたブログをもとに、「このブログにあうアイキャッチ画像を作ってくれませんか?」と指示をすると…

良いか悪いか・使うかどうかはさておき、ブログの内容を汲み取り、ブログにあう画像を生成してくれました。

AIができることを理解する

文章やデザインなど、AIが人間に代わって様々なものを生成できるということを理解いただけたかと思います。
ChatGPTだけでなく、世の中には様々な生成系AIがあります。
人間の身体に置き換えて、それぞれ何ができるAIなのかを理解しましょう。

人間の目として、文字や映像、画像を認識できるAIや、耳として、人間が発音した言葉も認識・理解し、話すことができるAI。
脳として、文章の要約や場の雰囲気を理解することができ、感情を認識して表現することができるAI、絵を描いたり画像作成などのデザイン、web制作ができるAIなど、世の中には様々なAIが存在します。

AIが得意・苦手な仕事とは

こうした様々なAIが存在している中で、AIはどんな事が得意なのでしょうか?

こんなブログが書きたい、報告書を作りたい など、「あれやってほしい」「こんな事ができないかな?」という作業・お願いについては、おそらくAIに完全に取って代わっていくと思います。
一方で、「こうしませんか?」「いつまでにこれやろう」などの交渉や実行については、AIに補完してもらう部分はあるかと思いますが、人間がやっていかなければいけない部分が多いと思います。

ダブルノットに置き換えて、今後AIがカバーしていくであろう作業工程を分解しました。
ライターやデザイナー、コーダー、事務作業などの一部作業は、ほぼほぼChatGPTにお願いをするということができつつあります。

仕事を作る人(経営者、プロデューサー)がディレクター(ネット店長)に「こんな事をやってほしい」という依頼に対して、ブログ作成やデザイン、事務業務など、人間に依頼していた様々な作業工程の多くが、今後AIに代わっていくであろうと考えています。

AI時代に求められるスキルセット

ネットショップの店長として、AIを利活用する上で大切なスキルセットについてです。
これまでは、自分がどんな商品を売っているのか?業界はどんな感じなのか?ビジネスをどこまで知っているか?という「業務理解」はもちろんのこと、お客様との対話を通してニーズを理解し、自社の商品を買ってくださるお客様はどんな人がいるのだろうか?という「顧客理解」をしつつ、業務内で課題が見つかった際に、持っているネットワークを駆使してどんな人に依頼をするのか?がこれまでは大切でしたが、このネットワークの部分がまるっとAIに代わっていきます。

今まで人に依頼していたものが、ChatGPTに依頼をすれば解決できることが増えてきたことで、依頼できる人がいる「ネットワーク」をもつことが重要という考えから、AIを活用できるか?という「AI利活用」に代わっていく時代が、もうすでに来ています。

3. AIの利活用を前提としたネットショップ経営

AIの利活用を前提としたネットショップ経営をどう考えていくかについてですが、特に弊社のような社員5名の小規模事業者が今後どういった経営をしていくか?考え方のヒントになるオススメのYoutube動画があります。よろしければ視聴してみてください。

この動画の内容にエッセンスを加えて、今後のネットショップ経営において大切なことを考察してみました。

  • 無人経営でも生き残れるか を考えてみる
    人に任せずAIに任せるということです
  • 自社が持っている特徴を明確にしてみる
  • 経営者自身がAIの利活用スキルを身につける

人間社員とAI社員の違い

人間の社員とAI社員の違いを、下記項目に分けて違いを明確にしてみました。

知識・学びについて、もちろんAIは圧倒的な知識量で、学びにいかずとも勝手に進めていきます。
ただ主体性において、人間はモチベーションを与えればどんどん進めていきますが、AIは言われないと動かない。超がつくほど待ちです。

対話力については、人間は色々気を使い質問ができ、端折る会話などもできますが、AIは言われた範囲でとりあえず答えを出し、回答結果が合っているかどうかの是非だけを求めます。

業務時間は、もちろん人間は労基法・雇用形態に準じて働かないといけませんが、AIは24時間365日いつでも働いてくれます。
仕事速度は、人間は人間並みですが、AIは異常値で作成をしてくれます。

最後に倫理観。人間は知識をもつと「倫理観はこうあるべきだ」と解釈ができますが、AIもとても倫理観があるんです。
例えば爆弾や薬物の作成など、そういった事にChatGPTを利用することができないように抑制されており、国別の倫理観を持とうという取り組みも始まっています。

ネットショップのどの業務がAIに置き換えられるのか?

ダブルノットが今後無人で5つのネットショップを経営をしていくと仮定し、どういった業務がAIに置き換わるのか?ざっくり業務分解してみました。

業務分解していくと、AI社員を雇えば立ち上げは労力や費用がかかりますが、運営をしていくと、経営者の10分の1程度の時間で運営できる世の中がくるかもしれません。

ただし、方針の策定など、こんな風にしたいんだという想いの部分に関しては、AIでなく経営者が想いを持ってやっていかなければいけません。

4. AIの活用って法律的にはどうなのか?

「AIが作成した画像データは商用利用できるのか?」など、法律的な話はいくつか議論するべきところがあります。
ただ、私は法律の専門家ではないので、AIの利活用をする上で法律的な部分をどう考えるのか?というところについては、自社の業界の状態を踏まえていただき、顧問弁護士の方とディスカッションしていただきたいと思います。

今から記載していく議論については、ダブルノットがAIを積極的に業務で使っていくという経営方針をおいた中で、何に気をつけるべきなのか?顧問弁護士といくつかディスカッションしたものです。

議論1 学習用データの収集

ChatGPTに指示をした際、ChatGPTがどんな学習データを拾ってくるのか?分からないですよね。
「AIが収集してきた学習データを商用利用してよいのか?」という事ですが、これについてはいずれの方法によるかを問わず利用することができる と、法律上では捉えています。
情報解析であったり、その解析過程での利用については、使ってよいという法律になっています。

議論2 生成系AIに指示をして生成した作成物の著作

基本的に、ChatGPTなどの生成系AIで作り出したものの著作権については、著作物を作った人のものとしている生成系AIがほとんどです。

著作権侵害のルールについては、「類似性」と「依拠性」どちらにも該当するとなった場合に著作権侵害が起きるというのが法律の規定です。

類似性とは、実際に存在する作品や何らかの情報を参考にして、自分の作品をより良いものにしていこうということです。

類似するようなものを作っていくということについては、AIを利用する上でほとんど該当します。

類似性の該当だけだと問題にはならないので、問題は依拠性です。
生成した作品を作る際に、すでに存在している作品を視聴等し、それに基づいて創作することが依拠性です。
模写するということは、完全に依拠性ですよね。
ただし、例えばブログの文章を制作した際に、偶然すでにある他人の文章と類似してしまった場合は依拠性の要件を満たさないため、他人の文章の著作権侵害とはなりません。

議論3 個人情報保護の観点

ChatGPTに個人情報を投げ込むあるいは勝手に人に渡すことは、法律的な観点では個人情報保護法において違法の行為となってしまいます。

もう一つの観点「相対契約」
個人情報をもらう側の事業主になった場合に、もらう先とどんな契約を結んでいるか?という事ですが、LINEの一部サービスを例に挙げて話をします。
LINEの一部サービスは、利用規約の中で『openAIのサービスを自社サービスを提供するために利用していて、その提供に必要な範囲でお客様に関連する各種情報をAIに共有する場合があります』と相対契約を結んでいます。

おそらくAIを使っている事業者において、これらの条文はどこかに書かれているかと思いますのでチェックしてみてください。

法律的観点から見た現時点でのAI活用方針

弊社のように、AIを会社内で積極的に利用していくと決めた場合の活用方針です。

  • 様々な情報収集をした生成系AIを利用することは問題ない
  • 生成した制作物は「依拠性」を考慮して利用する
    コピペチェックツールの利用
    画像検索など依拠性を疑われないか?調査する
  • 個人情報をむやみに入力しない。架空の人物に入れ替える

依拠性の考慮については、考慮するものの100%リスクヘッジすることは無理だと思っているので、リスクを負って経営をするという風に実行しています。

“再掲” 無人経営で生き残れるかをイメージできる世の中に変わっていかないといけない

AIに仕事を奪われると心配する人もいるが、AIに精通した人に仕事を奪われるのではないか?

国立台湾大学の卒業式でスピーチをした際のジェンスン・フアンCEOの言葉

アメリカで半導体事業を行っているNVDIAのフアンCEOが言っていたことですが、AIは今後どんどん社会の中で使われていきます。
ですので、AIに仕事を奪われることを心配していてもしょうがないです。
であればAIに精通してしまった方が、自分達で積極的に仕事を奪っていくことができます。そして、AIに精通している人の中でも仕事を奪われない人になろうというのが私の考えです。

AIをどんどん利活用していきましょう!

まとめ まずは使ってみましょう!

  • 検索(Google)とは違う
  • 指示書を書きましょう
    部下の専門性や役割(あなたはWebライターです)
    部下に指示する背景(なぜあなたに指示をするのか)
    部下に指示する内容(指示内容を具体的に)
    参照してほしい情報があれば付け加える
  • 回答内容が満足しなければ追加で指示をしましょう

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この記事を書いた人

高林 努

東京でネットビジネスに約20年従事。
IMJグループ、電通レイザーフィッシュ、クラウドワークスでは、大手企業のインターネットビジネスの事業立案から実践構築までを担当。
2017年「地元鳥取を元気にしたい!」という思いから、(株)ダブルノットを設立。
地域を越えて日本全国に商品をアピールする“地産外商”を掲げ、ネット店長の育成に尽力。鳥取県八頭町、兵庫県豊岡市でデジタル人材育成を実施中!