AI生成物のファクトチェックが難しい…これを解決する方法はなんだろうか?

AI生成物のファクトチェックが難しい…これを解決する方法はなんだろうか?

こんにちは、ネット店長育成塾の塾長、高林努です。おかげさまで最近では毎月2〜3回、全国各地でChatGPTに関するセミナーで話をさせていただく機会を頂いております。私自身も多くの経験を積むことで人に伝えるスキルが向上していると感じています。本当にありがとうございます!

その結果、参加者の理解も深まり、質問もより高度なものになってきました。もちろん世の中にChatGPTが浸透してきた証拠でもあります。その質問の中で回答がイマイチ上手にできないのが「ChatGPTが生成した内容の確認の仕方」という質問です。つまりファクトチェックの方法についてです。

これまでは「ファクトチェックの方法はGoogleで検索したり、専門家や政府や専門機関、大学の論文など信頼できる情報を参照してください」と答えていました。しかし、これでは全然伝わっていなかったことが最近わかりました。

なぜ伝わらないのでしょうか?この問題について熟考していく中で、たどり着いた答えが「事実と意見を切り分けることができない」という問題です。それが、ファクトチェックの方法が分からない、または苦手だと感じる人々が直面している根本的な問題ではないかと考えています。

事実と意見の切り分けがなぜ難しいのか?

ファクトチェックが出来ない人の多くが、AI生成物の文章すべてを「事実」と捉えてしまう傾向があります。そして、その内容が正しいかどうかを、自分の知識や経験に基づいて判断しようとします。これが問題を複雑にしています。具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、「今日は雨が降っているから部屋でゆっくりしよう」という文章があったとします。この文章全体をファクトチェックしようとすると「部屋でゆっくりすることが正しいかどうか」をチェックすることになります。しかし、これは「意見」であり、その正誤を判断するのは主観的なものです。重要なのは「今日雨が降っているかどうか」という客観的な事実を確認することです。これを調べるためには、Googleや専門家(例えば気象データ)を利用して確認することが必要です。そして、事実を確認した後に、意見を基に判断するのが正しい手順です。

AI生成物の文章をネット上で掲載する際には、こうした事実の確認がとても大切です。そして誰もが事実誤認しないよう、事実の追記をしていくことが求められます。例えば、「ウェザーニューズによると、鳥取県八頭町では今日朝7時に10mmの雨を観測し、今日一日降り続く予報が出ているから~」といったように、ファクトチェックに基づいて情報を追記することで、その文章全体に信頼性を持たせることができます。そして、その事実に基づいて自分の意見を述べることが、独自性(オリジナリティ)のある情報発信につながるのです。

仕事におけるAI生成物のファクトチェックの仕方

AI生成物の文章を仕事で活用する場合を考えてみましょう。例えば地域の特徴をChatGPTに聞いてみるとしましょう。その際に生成された「AI生成物」の情報を事実と意見に切り分けて考える必要があります。

ここでは、ChatGPTが生成したAI生成物「鳥取県八頭町の特徴」を例に取り上げてみましょう。

この文章を「事実」と「意見」に分けてみると以下のように分けることができます。

事実:

  • 八頭町は、自然に囲まれた地域で、扇ノ山などの山々や清流が広がっている。
  • 農業がおこなわれており、梨や柿などの果物が名産品である。
  • 歴史と文化が残っている。
  • 隼駅にはバイク愛好者が訪れている
  • 鳥取市や兵庫県の豊岡市、姫路市へのアクセスが容易である。
  • 地域の特産品や郷土料理がある。

意見:

  • 八頭町は、美しい自然が広がっています。
  • 八頭町は、農業が盛んです。
  • 八頭町は、古いです。
  • 八頭町は、バイク愛好家の聖地です。
  • 八頭町は、自然と共に暮らすことができる住みやすい環境が整っています。
  • 八頭町は、交通の利便性が良いです。
  • 八頭町は、地産地消が進んでいます。

この中で「事実」とした部分について、さらにGoogleや専門家に聞いて確認することがファクトチェックの基本です。例えば、豊岡や姫路は80km以上あるからアクセスは容易とは言えない。ただ「鳥取市へのアクセスが容易」という表現が適切かどうか具体的な距離や交通手段を調べる必要がある。また、「名産品に梨を含めてよいか」「特産品や郷土料理は具体的に何か」といった点も調べ直すことで、より正確な情報を得ることができます。

ファクトチェック自体はここで終わりになりますが、ChatGPTなどAI生成物を仕事で活用する上で重要なのは、自分自身の意見とChatGPTが出した意見が合致しているかを確認することです。意見を持つことに不安を感じる方がファクトチェックが苦手と感じるのかもしれません。自分自身が意見を持つことは、批判を受ける可能性があるということでもあります。事実を述べるだけであれば批判されることは少ないですが、AIを活用する世界では、AIとWebがあれば可能な作業であり、そこには本来人間が行うべきことが求められます。

事実と意見を取り入れた八頭町の紹介例

事実だけを述べた八頭町の紹介事実に基づき意見も含めた八頭町の紹介
鳥取県八頭町は、自然に囲まれた地域で、扇ノ山などの山々や清流があります。農業では梨や柿などの果物が名産品です。歴史と文化もあり、隼駅はバイク愛好者が訪れます。また、鳥取市からは車で20分程度です。自然と共に暮らすことができます。地域の特産品を活かした加工品もあります。 鳥取県八頭町は、豊かな自然に囲まれた地域で、扇ノ山などの美しい山々や清流が広がっています。農業が盛んで、特に柿が名産品として知られています。古くからの歴史と文化も色濃く残っており、隼駅はバイク愛好者にとっての聖地となっています。また、交通の利便性も良く、鳥取市へのアクセスが容易でありながら、自然と共に暮らすことができる住みやすい環境が整っています。地域の特産品や、それらを活かした加工品や郷土料理の開発も盛んで、地産地消が進んでいます。

事実だけを述べた八頭町の紹介と、意見も含めた八頭町の紹介、情報発信する場合はどっちが魅力的でしょうか?意見を含めた方が魅力的であり議論の余地も出てきます。この文章をきっかけに対話も生まれてくるかもしれません。この方が情報発信という視点では優れていると考えても良いと思いませんか?

つまり、私たちが、AI生成物を「魅力的な情報」として活用するためには、①事実と意見を切り分けて、②ファクトチェックを行い、③事実をもとにした自分とChatGPTの意見を議論し、④自分の意見を加えてバージョンアップさせるという4ステップが重要です。

ChatGPTが出してきた意見が参考になるのであれば活かしつつ、異なるのであればそれを否定する。こうして自分の意見を持ち、議論を重ね、自分らしいファクトチェックに基づいたAI生成物の活用をしていきましょう。


現代社会において、私たちはどんどん多くの情報に触れる機会が増加します。情報過多でマジで大変です。

その中でも、いかにして正確な情報を見極めるか?そして、自分の意見として発信していくかが、今後のコミュニケーションにおいて重要なスキルとなると考えています。AI生成物は、自分一人では創り上げることが出来ない高度な情報を提供してくれる優秀な部下です。とても心強く頼もしい存在であり、その活用方法次第では大きなビジネスチャンスを生み出してくれます。しかし、部下が作り出すAI生成物は、いつも完璧な情報を提供してくれるわけではありません。

だからこそ、事実と意見をしっかりと切り分け、正しいファクトチェックを行い、その上で自分の意見をしっかりと持つことが求められます。これが、AI時代を生き抜くための「情報リテラシー」の向上に第一歩だと考えています。AIを優秀な部下や相棒として捉え、活用することで、私たちはより充実した情報発信ができるようになるでしょう。

私は、これからも、AIの力をめちゃくちゃ活用し、自分自身の意見を磨き続けることで、他者と差別化された価値ある情報の提供に挑戦し続けていきます。ぜひ皆さんも一緒に学び、一緒に成長していきましょう!


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IT導入診断士として認定された専門家が、IT導入、販路開拓、補助金活用などのお困り事をお聞きします。専門用語を避けて分かりやすくご案内しますので、お気軽にご予約ください。

この記事を書いた人

高林 努

東京でネットビジネスに約20年従事。
IMJグループ、電通レイザーフィッシュ、クラウドワークスでは、大手企業のインターネットビジネスの事業立案から実践構築までを担当。
2017年「地元鳥取を元気にしたい!」という思いから、(株)ダブルノットを設立。
地域を越えて日本全国に商品をアピールする“地産外商”を掲げ、ネット店長の育成に尽力。鳥取県八頭町、兵庫県豊岡市でデジタル人材育成を実施中!