昨今、多くの企業がネットショップの開設を考えています。しかし、「初期投資はどの程度かかるのか?」「継続的な運営コストは?」という悩みを持つ方も多いでしょう。
弊社ダブルノットでは現在5つのネットショップ運営をしており、その他にも多くの事業者様のネットショップ運営の支援を行っています。今回は弊社事例を出しながら、ネットショップの開設や運営の費用感や、活用できる補助金などについてご紹介していきます。
「ネットショップ」と「ネットショップ運営」の違い
ネットショップの開設費用を考えるにあたり、まず理解しておくべきことが、「ネットショップ」と「ネットショップ運営」の違いを明確にしておくことです。
インターネットを活用して商品やサービスを展示、購入することができるオンライン上の店舗のことを「ネットショップ」と言います。そして、このネットショップを日々運営するために、適切に人員の配置したり、適切な広告宣伝活動を実施したり、シーズンに合わせてキャンペーン商品やギフト商品を展示したりする活動全体を「ネットショップ運営」と言います。
ネットショップには多種多様な種類が存在しており、店舗内に搭載している機能やサービスが異なります。決済機能、商品管理機能、受注管理機能などネットショップ運営には欠かせない機能それぞれにもシンプルな機能のものから多機能なものまで様々存在しています。もちろん多機能なものは高価な場合が多いです。
また、新しいネットショップには新しい機能が搭載されているケースが多く、年数が経ったネットショップには劣化してしまった機能もあります。劣化した機能をそのままにすると泥棒などのハッカーの侵入や雨漏りなどシステムエラーなどが起きるケースがあります。
実社会と照らし合わせてみると、テナントビルに入居するようなイメージをもってもらうとわかり易いかもしれません。古い雑居ビルに入居することもできるし、最新鋭の高層ビルのテナントにも入居する事が出来るイメージですね。
ネットショップの開設にはどれくらいの資金が必要?
ではネットショップ運営の要となる「ネットショップ」の開設にかかる費用はどれくらいかかるでしょうか?
ネットショップの開設には主に2つ考えることがあります。一つ目はどんなテナントに入居するのか?二つ目は居ぬき物件状態(何も装飾されていない状態)で入居するので、どんな内装や外装にするか?つまりお店のデザインをどうするか?です。
一つ目のどんなテナントに入居するか?です。これをネットショップの開設に必要なシステム用語でいうと「カートシステムの契約」と言います。カートシステムとは商品ページや購入商品を入れておくバスケット機能や決済機能や会員機能などネットショップ運営に必要な様々な機能がいつでも使える状態に整備してあるシステムの総称をいいます。カートシステムには高額なものもありますが、最初は無料のものから年間10万円程度のものを選ぶとよいでしょう。1か月無料などお試しで使えるサービスも多いので、色々と操作してみるとよいでしょう。
そして2つ目のお店のデザインである内装・外装工事費用です。業者さん(Web制作会社等)にお願いするとプラスして百万円程度といった予算感となります。最近のカートシステムではセミオーダー的にすでにある程度デザインが施されてあるもの存在します。あとは店名や宣伝用キャッチコピーやロゴなどを配置するだけいい感じの雰囲気にしてくれます。まずは少額で行いたい!という方にはネットショップ開設費用を無料から始めることもできます。
繰り返しになりますが、ネットショップを開設しただけでは人は集まりませんし、売上も出ません。大切なことは、ネットショップ運営を行うための資金まで考えることです。
参考:カートシステムの比較
傾向ですが無料のカートシステムは決済手数料や販売手数料が有料よりも高めに設定されており、売上が出ていない初期段階で導入しやすいシステムとなっています。有料のカートシステムは決済サービスが多く対応されている、クーポン発行機能、レビュー機能などが使用できるといった機能面でのメリットがあります。目標とする規模感によって選びましょう。
サービス名 | 初期費用(最低料金) | 月額費用(最低料金) |
BASE | 0円 | 0円 |
STORES | 0円 | 0円 |
makeshop | 11,100円 | 12,100円 |
カラーミー(フリープラン) | 0円 | 0円 |
カラーミー(有料プラン) | 3,300円 | 4,950円 |
Shopify | 0円 | 33$ |
ダブルノットの場合
弊社はGMOグループが提供するmakeshop、カラーミーといったカートシステムを利用しています。
- makeshop 初期費用11,100円 月額12,100円
- カラーミー(有料プラン) 初期費用3,300円 月額利用4,950円
ネットショップのデザインはWeb制作会社に依頼しており、商品撮影を含めて約100万円程度かかるものの補助金を活用しながら作成しました。創業当初は自社スタッフのみで作成したネットショップもあり、ある程度のクオリティであればテンプレートが用意されていますので自分の手でも作成できます。
ネットショップの運営資金はどれくらい必要?(弊社事例紹介)
弊社の事例を見ていきましょう。ネットショップを開設した次のステップは運用です。下記は弊社が実際に想定していた大まかなネットショップの運営実績です。
運用するということは人件費や広告費がかかり、その他にも事務所や倉庫代なども必要です。下記のような実績を参考にしつつ、販売価格や費用をどこに使うのか?どこをあきらめるのか?など事業計画を建てていきましょう。
売上 | 月40-50万円程度 | 5,000,000円 |
購入者数 | 客単価5,000円÷売上 | 1,000人 |
仕入原価 | 売上の40%程度 | 2,000,000円 |
システム使用料 | 12,000円/月×12か月 | 144,000円 |
決済手数料 | 売上金額×3.5% | 175,000円 |
梱包・同梱物費 | 購入者数×100円/回 | 100,000円 |
発送費 | 購入者数×1000円/回 | 1,000,000円 |
人件費(兼任スタッフ) | 20万円/月×0.3人月稼働 | 720,000円 |
通信費 | 10,000円/月×12か月 | 120,000円 |
移動・宿泊費 | 10,000円/月×12か月 | 120,000円 |
交際費(営業活動) | 10,000円/月×12か月 | 120,000円 |
事務所・倉庫費(他業務と兼務) | 30,000円/月×12か月 | 360,000円 |
光熱費 (他業務と兼務) | 3,000円/月×12か月 | 36,000円 |
プロモーション費用 | 1万円/月×12か月 | 120,000円 |
外部委託費(システム改修) | 年3回程度、1回5万円 | 150,000円 |
合計(税抜き) | 5,165,000円 |
その他にも下記のような費用が想定されます。
- パソコンの用意
- インターネット回線設備
- サーバー、ドメイン費用
- セキュリティ費用
- 固定電話、インターネット電話
- 商品写真の撮影
- 業務効率化サービス
ネットショップを開設するとなれば「事業」ですので、資金が必要です。ネットショップの業務を効率化するサービスは様々ありますが、初期段階で大きく売上が立つことは稀ですので、最低限の費用から始めて、成長とともに導入していくのがおすすめです。
上記実績数字を見ても年商500万円あっても実は赤字運営なんです。補助金など活用することで実際の経営は成り立っています。今後年商1000万円を目指しつつ、必要経費を抑えていくことで黒字化を目指していきます。
ちなみに、事業計画を立てておくことで、融資や補助金等の申請もスムーズになります。
補助金制度の紹介
補助金制度を活用することで、ネットショップの開設に支払った資金を後で補助してもらうことができます。今回紹介する補助金は「ネットショップ運営」を行うことが前提。つまり店舗構築だけでなく、人員配置や商品の製造など含めた「ネットショップを運営する事業(ビジネス)を計画すること」が前提とされているため、経営方針や収支計画をたてたうえで活用していきましょう。逆言うと「ネットショップの開設費用」だけでは補助金が活用できない時代になりつつあります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所が実施している補助金です。小規模事業者に向けた制度になっており個人事業主でも活用できます。通常枠だと補助上限は50万円で補助率は2/3です。ただし、システム構築などウェブサイト関連費が全体の1/4までとなります。商工会議所または商工会から申請することが可能です。詳細は下記よりご確認ください。
その他にも規模感が大きくなりますが、業態転換を考えている場合は事業再構築補助金などもありますので、興味がある方は一度当社までお問合せください。
まとめ
ネットショップの開設は無料から始めることもできれば、お金をかけることで自由にカスタマイズもできます。大切にしてほしいのはネットショップは運営するビジネスであることです。人材育成やプロモーション費用などの運用費用まで考えることです。作っただけでは人は集まりません。利益を獲得するために計画を引きつつ、どれだけお金をかけていくか考えてみてください。
なお私の考え方は「人材育成費用」に全振りです。2024年以降、人口減少していく中でどの事業であっても大切なことは人創りだと考えています。昨今のITサービスはプログラムなどのスキルが不要のものが増えてきました。外部に依頼すると大切なノウハウが社内に貯まりにくいです。ぜひノウハウをためていくためにも社内のスタッフを育成に視点を変えていってください。
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