ITに詳しくない中小企業に寄り添う学校 DX学校ヤマタ鳥取校の講師として、三重県伊勢市にある「ゑびや大食堂」のDX化を成功させたツール「TOUCH POINT BI」の勉強会(DX学校主催イベント)に参加してきました。
伊勢神宮の参道にある食堂が、1000円前後のうどんや定食ではなく、3000〜4000円の懐石御膳で勝負する。参道の他店とは異なる価格帯でどうやって成功したのか?そして、その成功パターンをどのように仕組み化して広げていったのか?このストーリーを、有限会社ゑびや代表取締役 小田島春樹さんやグループ会社の株式会社EBILABのスタッフの皆さんから様々な学びとアハ体験をさせて頂きました。
最大のアハ体験は「ネットショップ分析と同じじゃないか!」って思ったことです。
勉強会の内容は非公開なので、今回学んだことと自分の得意分野であるネットショップ運営支援、特に立ち上げ期の支援を基に感想を書かせてもらいます。
ネットショップを分析するかのように実店舗を分析するってどういうこと?
ネットショップ分析とは、実店舗と同様に「お客様が想定通りに買い物をしているか?を把握し、その差をデータで理解し、目指すべき姿に一歩ずつ近づけるための次の方針を作ること」です。よく言うPDCAだと「CA」の部分に該当します。そのために必要な様々なデータを長期にわたり取得し続けて、前年対比や前月対比、前週対比など過去の実績をもとに予測をしていくことです。その分析データを貯めて過去実績を把握するのがアクセス解析ツールです。
取得するデータには色々ありますが、例えば表示回数とクリック数を実店舗に置き換えると、表示回数は通行客数、クリック数は入店購買者数に相当します。また、広告の効果測定や画像の良し悪しを判断するために行うABテストは、実店舗に置き換えると「看板分析」に相当します。
そして分析において大切なことが、各数字間の相関を見つけることです。どの数字を増やすと、他のどの数字に影響を及ぼすか?その相関を見つけつつ、方針や実行アイデアに落としていきます。さらに、昨年対比や前月対比のアクセス数を確認することで、より正確な来店者予測や売上予測が可能になります。
これにより、数日前からの仕込み量を適切に調整し、フードロスを減少させることができます。在庫管理も円滑に行え、欠品を防ぐことができます。飲食店では、シフトロスやフードロスを最小限に抑えることで経営が大きく改善されることが知られています。このため、多くのBIツールが開発・導入されていますが、最終的には様々なデータの相関を見つけ出し、予測することが肝要です。
その中でも私が重要と考えていることが「大元となる数字」を見極めることです。その大元となる数字の最大数がお店の前の通行客数です。これまで通行客数を把握し店舗を分析するツールや、カメラを使って人流データを基に分析するツールを見てきましたが、ネットショップ分析を日々考えている人間からすると、どれもなんか違うよなあ~って、もやもやしていました。それを解消したのが、この「ネットショップ分析のようにできる」店舗分析ツールTOUCH POINT BIだったことが分かりました!
費用感はどんな感じ?
まずは導入する店舗分析だけだと、月額19,800円。その後、様々な分析ツールを加えても5万円程度で月額利用が可能です。すべての分析ツールを導入すると初期費用が別途100万円程度かかりますが、月額費用は5万円程度です。
Googleのように無料とはいきませんが、もっと高価なITサービスだと思っていた私の経験則から見ても、イメージが大きく変わる料金体系です。もちろん、様々な補助金や助成金制度を活用することで実質費用を最大1/3程度に抑えることも可能です。
ツールは使ってなんぼ。使えるチーム作りが大切
とはいえ、ツールはツール。使いこなしてナンボの話です。
ツールを導入しただけでは何も改善しません。じゃあ何から始めるか?何度でも言いますが最初の一歩は、導入ツールに実データを貯め込むことです。そのために行う事が「仕事の進め方」を変えることです。
具体的にはデータを取得できるチームを作ることです。つまり、スタッフの協力が絶対に必要ということです。データ取得のためには、スタッフのルーティンが変わるため、反発が起きることもあります。そして、経営者や店主自身も店舗運営をしているためルーティンを変えることを苦手としている部分も多いので、実はツール導入したいと思っている経営者や店主自身の抵抗や反発が一番厄介です。
朝礼で指差し確認をするとか、データをアルバイトも含め全員に見せる透明化を進めるとか、データを使ってくれた人にはポイントをプレゼントし、地域商品券と交換できる社内ポイ活制度を作るなど、スタッフの協力なしには成り立ちません。スタッフ自身へのわかり易いメリットを提供しつつ、経営者と共に楽しみながらデータを集めることが必要になっていきます。
そして、一か月も経つと前週対比や前月対比が見えてきます。このあたりからデータを使った勉強会やデータで語る文化を少しずつ進めていき、3か月目位からは予測分析を考えてみると良いでしょう。データと勘による結果比較も行ってみます。そうなると、スタッフと共にワークショップを開き、データと勘を競わせるゲーム感覚で進めると楽しくなります。
つまり、ITツールの導入はきっかけであり、スタッフ間のコミュニケーションツールでもあります。別のブログでも書きましたが、パソコンやデータを使って日常生活を過ごす若者が活躍する時代が来ます。ITは苦手ではなく、ITを使って日常生活を過ごす会社の風土づくりも大切です。
高林が今後取り組みたい領域でもある
私自身、実店舗運営の支援も試みたい領域です。特に分析領域は、店舗分析を行うBIツールを「ネットショップの分析と同じ考え方」で運営支援できるのは?と感じました。
そして、ネットショップも実店舗の分析も最初に行うことはデータをためること。それもスタッフと共に楽しくためることです。これはリアルでもバーチャルでもどちらも同じでした。
ネットショップ分析にはGoogleなど分析ツールを使いますが、難しい言葉を使わず一つずつ課題を見つけ、解決していくことを進めてくことが大切と前々から伝えています。今回の研修でも「ゲーム感覚」という言葉を聞き、なるほど!もっとライトな伝え方も大切だと感じました。
日々謀殺されている業務に私自身もゲーム感覚で楽しむことを忘れ気味であることは確かですが、楽しく、かつ楽して儲けるために、何ができるか?一緒に考えていきましょう!
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